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小惑星アポフィスの地球との衝突確率は100万分の1未満に低下

2004年に発見された地球近傍小惑星のアポフィスは、2036年の接近時に地球と衝突する確率が25万分の1と計算されていた。
アポフィスは約11か月ごとに地球に接近し、直近では2013年1月9日に約1450万キロメートルまで近づいた。
この機会に様々な観測装置を動員して詳細に測定し、アポフィスの軌道の計算精度を上げることができた。

その結果、2036年4月13日の接近時、地球との衝突確率が100万分の1未満まで低くなった。
NASAでは Goldstone Solar System Radar での観測を来週半ばまで継続して、さらに詳細なデータを取得する予定だ。

NASAのジェット推進研究所の発表と、アストロアーツの天文ニュースを引用しておこう。
www.jpl.nasa.gov/news/news.php
【… The impact odds as they stand now are less than one in a million, which makes us comfortable saying we can effectively rule out an Earth impact in 2036. …】

www.astroarts.co.jp/news/2013/01/10apophis/index-j.shtml
【NASAは1月10日付で、米3施設による新データおよび今回の接近の観測から、アポフィスが2036年に衝突する可能性は事実上消滅したと言えるほどに小さくなったと発表した。】

確率が100万分の1未満でも、これはゼロではないと言う人もいるだろうが、それは計算上の誤差の問題だ。
位置観測の測定値には誤差があるし、他の惑星の重力や太陽活動などの影響も考慮すると、2036年4月13日時点でのアポフィスの位置にも誤差は残る。
約11か月ごとの接近時に観測データが増えることで誤差は減少するので、あと数回で確率はゼロと言えるようになるだろう。

確率がゼロに限りなく近づくことはあっても、完全にゼロになることはないが、実質的にはゼロとみなしてもかまわないということだ。
アポフィスが地球や人工衛星と衝突することを心配するよりは、交通事故のリスクの方を気にした方が現実的だろう。

アポフィス以外にも、地球と衝突する可能性が指摘されていた小惑星は数多くある。
例えば 2011 AG5 は、2040年の接近時の衝突確率が500分の1とされていたが 、その後の追跡観測から確率はゼロとなった。
www.astroarts.co.jp/news/2012/12/25asteroid/index-j.shtml
neo.jpl.nasa.gov/news/news176.html

それでも 2008 TC3 のように、地球に落下する直前に発見されることもあるので、世界規模での観測体制を今後も充実させ、継続してほしいものだ。

テーマ : 星・宇宙
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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