「solar radiation」を「放射線」としたのは字幕の宿命なのか
(最終チェック・修正日 2013年05月31日)
翻訳の依頼が来なくなって半年以上になるが、それでも毎日英語とドイツ語を少しずつ勉強して、いつでも受注できるようにしている。
auひかりTVでは、BBCワールドニュースの他に、ナショナル・ジオグラフィック・チャンネルとディスカバリー・チャンネルを利用している。
ディスカバリー・チャンネルでは、映像翻訳者を養成するためのプロジェクトを実施したこともあるので参考にしている。
ただし、これまで指摘したように、違和感のある訳語に出会うこともあるので、オリジナル音声の英語を確認することもある。
今月視聴した番組でも、「solar radiation」を「太陽放射」ではなく、「放射線」としている字幕に出会った。
問い合わせをしたものの、2週間経過しても何も返答がない。
誤訳かどうかの最終確認はとれていないが、現時点でのメモとしておこう。
番組名は、「ディスカバリー望遠鏡プロジェクト」で、アリゾナ州ローウェル天文台に建設された巨大望遠鏡に関するものだ。
japan.discovery.com/episode/index.php
私が違和感を持った字幕は、番組開始から約26分後、カイパーベルト天体に関する説明のところに出てくる。
日本語字幕:
「太陽の近くにある天体は 放射線により 大きく変化しました」
翻訳の依頼が来なくなって半年以上になるが、それでも毎日英語とドイツ語を少しずつ勉強して、いつでも受注できるようにしている。
auひかりTVでは、BBCワールドニュースの他に、ナショナル・ジオグラフィック・チャンネルとディスカバリー・チャンネルを利用している。
ディスカバリー・チャンネルでは、映像翻訳者を養成するためのプロジェクトを実施したこともあるので参考にしている。
ただし、これまで指摘したように、違和感のある訳語に出会うこともあるので、オリジナル音声の英語を確認することもある。
今月視聴した番組でも、「solar radiation」を「太陽放射」ではなく、「放射線」としている字幕に出会った。
問い合わせをしたものの、2週間経過しても何も返答がない。
誤訳かどうかの最終確認はとれていないが、現時点でのメモとしておこう。
番組名は、「ディスカバリー望遠鏡プロジェクト」で、アリゾナ州ローウェル天文台に建設された巨大望遠鏡に関するものだ。
japan.discovery.com/episode/index.php
私が違和感を持った字幕は、番組開始から約26分後、カイパーベルト天体に関する説明のところに出てくる。
日本語字幕:
「太陽の近くにある天体は 放射線により 大きく変化しました」
英語音声:
「Objects closer to the Sun have been greatly transformed by solar radition. 」
カイパーベルト天体と比較して、太陽に近い天体の岩石惑星では、太陽系形成当時のガス成分が失われていることを説明している。
ここでは太陽の光や熱の影響を示唆しているはずなので、文意から判断して、「太陽放射」を選んでほしかった。
念のため、複数の英和辞典で solar radiation を調べてみた。
翻訳者も利用しているオンライン辞書、「英辞郎 on the Web」を見ると、語義の最初に、「太陽熱の放射(線)」を示している。
ただし、用例には「放射線」はないし、かっこを外した語義の「太陽熱の放射線」とは何を意味しているのだろうか。
・solar radiation 太陽熱の放射(線)、太陽放射
・absorb solar radiation 太陽放射を吸収する
研究社の辞書でも solar radiation を調べてみると、「太陽放射線」はなかった。
・理化学英和辞典: 【天文】 太陽放射: 太陽からの電磁波やさまざまな粒子の放射.
・新英和大辞典: 太陽輻射, 日射.
他のオンライン辞書検索を見ると、「太陽放射線」もあった。
用例が示されていないため、どの分野で、どのような文意で使われているのかは不明。
時間があれば探してみよう。
追記(5月31日):
「放射線」を選択した理由について、メールで回答が届いた。
その理由とは、以下の通り2つである。
1.「太陽放射」も広義の「放射線」に含まれると判断した
2.「太陽放射」とした場合の文字数に問題がある
より重要な理由は、2番目の文字数の方だろう。
文字数が増えると、映像が目に入らなくなるおそれがあるため、「太陽放射」よりも一文字少ない「放射線」の方が望ましいそうだ。
また、「太陽放射」とすると、「太陽」が複数回出てくるので、それを避けたいとのことだ。
以前から言われていることだが、字幕から得られる情報は限定的である。
そのためか、字幕なしで理解できる語学力をつけようと、さまざまな会社が教材を売り付けるのだろう。
「Objects closer to the Sun have been greatly transformed by solar radition. 」
カイパーベルト天体と比較して、太陽に近い天体の岩石惑星では、太陽系形成当時のガス成分が失われていることを説明している。
ここでは太陽の光や熱の影響を示唆しているはずなので、文意から判断して、「太陽放射」を選んでほしかった。
念のため、複数の英和辞典で solar radiation を調べてみた。
翻訳者も利用しているオンライン辞書、「英辞郎 on the Web」を見ると、語義の最初に、「太陽熱の放射(線)」を示している。
ただし、用例には「放射線」はないし、かっこを外した語義の「太陽熱の放射線」とは何を意味しているのだろうか。
・solar radiation 太陽熱の放射(線)、太陽放射
・absorb solar radiation 太陽放射を吸収する
研究社の辞書でも solar radiation を調べてみると、「太陽放射線」はなかった。
・理化学英和辞典: 【天文】 太陽放射: 太陽からの電磁波やさまざまな粒子の放射.
・新英和大辞典: 太陽輻射, 日射.
他のオンライン辞書検索を見ると、「太陽放射線」もあった。
用例が示されていないため、どの分野で、どのような文意で使われているのかは不明。
時間があれば探してみよう。
追記(5月31日):
「放射線」を選択した理由について、メールで回答が届いた。
その理由とは、以下の通り2つである。
1.「太陽放射」も広義の「放射線」に含まれると判断した
2.「太陽放射」とした場合の文字数に問題がある
より重要な理由は、2番目の文字数の方だろう。
文字数が増えると、映像が目に入らなくなるおそれがあるため、「太陽放射」よりも一文字少ない「放射線」の方が望ましいそうだ。
また、「太陽放射」とすると、「太陽」が複数回出てくるので、それを避けたいとのことだ。
以前から言われていることだが、字幕から得られる情報は限定的である。
そのためか、字幕なしで理解できる語学力をつけようと、さまざまな会社が教材を売り付けるのだろう。