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長崎原爆関連のドキュメンタリー番組で誤訳?

(最終チェック・修正日 2013年08月24日)

毎年8月になると、終戦特集として第二次世界大戦関連のドキュメンタリー番組が放送される。
人間の悲惨な現実について忘れないためにも、そして、戦争をする国にならないためにも、多くの人々に観てほしいものだ。

今日もauひかりTVで、ナショナル・ジオグラフィック・チャンネルの戦争関連の番組を観た。
そのうち、長崎原爆のドキュメンタリー番組で、誤訳ではないかと気になった個所があったので、メモしておこう。

番組名は、「衝撃の瞬間6:長崎~2発目の原子爆 」である。
初回放送時の8月9日には観ていなかったので、今日になって初めて観た。

そして放送開始から約16分後、原爆の爆発力についての表現に違和感を持った。

22キロトンのTNT爆薬を搭載したファットマンの爆発で…」

TNT火薬に換算した爆発力のことを言いたいようだが、これでは原爆がTNT火薬でできていると誤解されてしまう。
ソファに寝転んで、うとうとしながら観ていたので、最初は聞き間違いかと思った。
そこで録画を再生して何度も確認したところ、やはり和訳ナレーションの間違いだと確信した。

念のため、英語ナレーションを確認すると、"With a force of 22 kilotons of TNT, Fat Man generates ..." と聞こえた。
英語の表現は正しいので、誤訳と考えてもかまわないだろう。

with だけ見て、その後の a force of を無視したのだろうか。
字数制限が原因とは思えないので、やはり勘違いによる誤訳だろう。

核兵器の話題では、「TNT火薬○キロトン相当の爆発力」という表現がよくある。
これを知っていれば、今回のような誤訳をしても、推敲時に気付くはず。
翻訳を担当するならば、同じ分野の書籍や映像資料などを参考にして、違和感のない表現にしてほしいものだ。

この間違いは修正してほしいので、FOXジャパンに問い合わせメールを出しておいた。

追記(8月24日):
問い合わせに対して回答メールが届いた。
指摘した部分を調査した結果、誤訳と判断して、修正作業をすることになったそうだ。
再放送が決まったら、改めて録画しよう。

それにしても、今回指摘した個所は、翻訳困難な表現ではないのに、誤訳するとは不思議だ。
翻訳対象分野の専門知識がないならば、事前に参考資料を読むなどの工夫も必須ではないだろうか。
何段階ものチェックがあれば、どこかで修正できるはずなのに、それでも誤訳は世に出てしまうものなのだ。

テーマ : 英語
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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