ドイツ語の「Erntemond」は満月だから「中秋の名月」とは訳せない?

(最終チェック・修正日 2013年09月20日)

今日は旧暦8月15日のため、この日の月は、「中秋の名月」と呼ばれる。
スーパーマーケットなどでは、お月見向けの商品が並んでいた。
今年は満月なので一番明るいし、昇ってくる時間帯もいいので、お月見には絶好の条件である。

ただし、中秋の名月は満月とは限らない
満月となるのは数年ぶりで、来年から再び「満月ではない中秋の名月」が続くことになる。
まあ商売としては、満月かどうかよりも、和菓子などの売り上げが伸びる方が気になるだろう。

ところで、「中秋の名月は満月とは限らない」ということが、翻訳で困った問題を生じてしまう。
細かいことを気にしすぎかもしれないが、今日のところは簡単なメモを残しておいて、じっくり調べてみよう。

ドイツ語の方言で、「秋分に一番近い満月」を「Erntemond」と呼ぶそうだ。
ドイツ語での説明は次の通り。
【Den Vollmond, der dem Herbstbeginn am nächsten ist, nennt man im Volksmund auch Erntemond.】

単語の構成要素から直訳すると、「収穫月・収獲月」となるだろうか。
天体の月と、暦の月とを区別するために、「収穫の秋の満月」とした方がよいのだろうか。

「Erntemond」は満月と決まっているし、日付も旧暦8月15日とは無関係なので、日本風に「中秋の名月」とはできない。
代わりに、「中秋の満月」にすればよいかもしれないが、ドイツ文化の話で「中秋」とするのも変な感じだ。

オンライン辞書の Glosbe で調べてみると、「中秋の名月」は「Herbstvollmond(秋の満月)」となっている。
ja.glosbe.com/ja/de/%E4%B8%AD%E7%A7%8B%E3%81%AE%E5%90%8D%E6%9C%88

ドイツ語の資料は少ないので、代わりに英語ではどうなのか調べてみた。

英語で対応する表現は「Harvest Moon」で、「Erntemond」と同様に、「収穫月・収獲月」という和訳が当てられている。
ただし辞書によっては、「中秋の名月」や「中秋の満月」を採用しているものもある。
中秋の名月は満月とは限らないため、「中秋の満月」にするしかないのかもしれない。

研究社の辞書3冊を見ても、それぞれ異なる。
「中秋」ではなく「仲秋」としている例もあるが、これは旧暦8月で対応する期間を広くとるためだろう。

・ルミナス英和辞典: 中秋の名月《穀物を豊かに実らせるといわれる; 秋分の日に最も近い日の満月》
・新英和大辞典: 仲秋の満月, 収穫月《秋分に最も近い満月》
・新英和中辞典: 中秋の満月《秋分のころ, 穀物を豊かに実らせるといわれる》

オンライン辞書でよく使われているものも例示しておこう。

・アルク、英辞郎: 収穫月、中秋の名月◆秋分の頃の満月

それにしても、「秋」や「収穫」という表現は、北半球のこと、しかも四季が見られる温帯で話をしていることが前提だ。
ドイツ語圏はヨーロッパ中央部にかたまっているからよいが、英語では少々困ってしまう。

時間があるときに、もう少し調べてみよう。

テーマ : ドイツ語
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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