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アイスランドが来年のミンククジラ捕獲枠を決定(13頭増加)

アイスランドでは商業捕鯨が行われていて、ナガスクジラとミンククジラを捕獲している。
ミンククジラはアイスランド国内で生鮮肉として流通しており、観光客がホエールウォッチングの後に、レストランで鯨肉ステーキを食べたりしている。
ナガスクジラは日本への輸出用に捕獲されていることから、反捕鯨国は強硬に反対しており、捕鯨廃止がEU加盟条件になるとまで言われている。
また、アイスランド水産物のボイコット運動を呼び掛けている環境団体もある。

アイスランド政府は、資源量に配慮した「持続可能な捕鯨」を行っていると主張している。
NAMMCO(北大西洋海産哺乳動物委員会)の推測では、西グリーンランドからアイスランドにかけて、ナガスクジラ約2万頭、ミンククジラ約3万頭が生息している。
捕獲枠の設定はそれぞれ約1%以下で、実際に2013年は、ナガスクジラが154頭、ミンククジラが216頭であった。

そして12月13日の発表によると、2014年のミンククジラの捕獲枠を、年間229頭に増加するそうだ。
www.atvinnuvegaraduneyti.is/sjavarutvegs-og-landbunadarmal/frettir/nr/7958 (アイスランド語)
【Í ráðgjöfinni fyrir næsta ár kemur fram að veiðar á 229 hrefnum á landgrunnssvæðinu og 154 langreyðum samrýmast markmiðum um sjálfbæra nýtingu.】

この捕獲枠増加に関する、AFPの英語記事は次の通り。
www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5ijopnOJkGiNBldoqdNfi39qwD61g


増加させるというものの、ナガスクジラもミンククジラも、捕獲枠を満たしたことは一度もない。
2013年のナガスクジラ捕獲頭数は134頭で、87%の消化率であったが、ミンククジラはわずか38頭で、2割にも満たなかった。
天候が良ければ捕獲数は増加するかもしれないが、今年の実績がこの程度なのに、捕獲枠をさらに13頭増加させる理由は不明だ。

まあ、捕獲枠というのは、資源量を基にして算出した上限を示すものなので、完全消化する義務はない。
冷凍保存はしないため、国内需要の動向をみながら、どのくらい捕獲するのか、捕鯨業者が判断することだろう。

ところで、先に示したAFPの英語記事には、捕獲するクジラの種類について気になる記載があった。
【The hunting quota for rorquals -- which includes blue whales, humpback whales and fin whales -- remains unchanged at 154.】

アイスランドが捕獲するクジラは、最初に書いたように、ミンククジラ(minke whale, hrefna)とナガスクジラ(fin whale, langreyður)だけである。
しかし記事では、シロナガスクジラ(blue whale, steypireyður)とザトウクジラ(humpback whale, hnúfubakur)も捕獲すると誤解されるかもしれない。
which関係節はダッシュで分けているものの、わざわざこういった表記をするのは、誤解されることを狙ったのか。

また、日本に輸出しているのはナガスクジラ肉だけだが、記事ではミンククジラ肉も輸出していると誤解されてしまう。
【Icelanders eat little whale meat, and most of the catch is sent to the Japanese market.】

まあ、捕鯨反対の立場から見れば、とにかく反対なのだから、正確な情報は不要なのかもしれない。

テーマ : 海外ニュース
ジャンル : ニュース

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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