アイスランドでナガスクジラ鯨肉粉を使ったビールが製造される(と思ったら停止処分)

(最終チェック・修正日 2014年01月14日)

いろいろなドイツ語ニュースを読むために、たまたまアイスランドの捕鯨について検索してみた。
すると、アイスランドのビール醸造業者がナガスクジラ入りビールを作っいて、クジラ・イルカ保護団体であるWDC(Whale and Dolphine Conservation)が抗議運動を呼び掛けていることを知った。
www.wdcs-de.org/news.php

引用されているアイスランドの報道は次の通り。
www.visir.is/hvalabjor-i-fyrsta-skipti-a-markad/article/2014140109384

また、検索してみつかったドイツ語・英語の報道は、例えば次の通り。
orf.at/stories/2213334/2213335/
www.rp-online.de/panorama/ausland/brauerei-braut-bier-mit-walmehl-aid-1.3933844
www.dailymail.co.uk/news/article-2535998/Conservationists-outrage-Icelandic-brewery-announces-plans-sell-beer-WHALE.html

アイスランドのビール醸造業者Brugghús Steðjaは、原料の1つにナガスクジラ鯨肉粉を使ったビールを発売すると、自身のサイトで1月5日に発表した。
www.stedji.com/heim.html

サイトにはクジラのデザインのラベルも掲載されていて、原材料を見ると、「水、麦芽、ホップ、Huvalur社製鯨肉粉(hvalmjöl)」とある。
内容量は 330 mL、アルコール度数は5.2%で、1月24日に発売予定とある。

ところで、このビールを紹介している日本語サイトでは、英語報道を参考にして「ビール全体の5.2%をクジラビールとして提供」と書いているが、業者のサイトやドイツ語報道で確認すればわかるように、「the 5.2% beer」は、「アルコール度数5.2%のビール」である。
原料に使っているのは鯨肉そのものではなく、鯨油を絞り取ったときの残留物から作った鯨肉粉(whale meal, Walmehl, hvalmjöl)。
ということで説明にもあるように、脂肪分を含まない良質タンパク質とのことだ。
タンパク質はビール酵母の栄養となるほかに、泡立ちに影響するようだ。
味がどうなるのか疑問ではあるが、アミノ酸が何らかの風味を付け加えることになるのだろうか。

アイスランドの商業捕鯨でナガスクジラは、ミンククジラとは異なり、日本への輸出用として捕獲されている。
ナガスクジラの鯨肉は冷凍して日本に輸出しており、輸出統計を見ると、2013年は4月、6月、7月に約130トンずつ輸出している(12月の統計は未発表)。

余った脂身について捕鯨会社のHuvalur社は、バイオディーゼルの原料に使っているそうだ。
鯨油そのままでは燃えにくいので、鯨油20%/ディーゼル燃油80%の比率で混ぜている。

そして残留物から作った鯨肉粉は、通常は肥料になるのかもしれないが、ビール原料に着目するのも面白いものだ。
ただ、環境保護団体、反捕鯨団体、菜食主義者団体などが抗議活動をしており、アイスランド製品のボイコットなどをするかもしれない。

追記(1月18日):
続報を確認したところ、1月14日付けの報道で、このビールの製造停止命令が出ていたそうだ。
西アイスランド公衆衛生局(the West Iceland Public Health Authority、Heilbrigðiseftirlit Vesturlands)の決定で、鯨肉粉は食品製造用に許可されていないため、製造の停止命令となったそうだ。

アイスランド語と英語の報道は次の通り。www.ruv.is/frett/framleidsla-hvalabjors-bonnud
www.icelandreview.com/icelandreview/daily_news//Whale_Beer_Production_Halted_0_405239.news.aspx

また、日本語報道としてはAFPを引用しておこう。
www.afpbb.com/articles/-/3006743

抗議活動をしていたWDCは、アイスランドの報道を受けてすぐ、1月14日に声明を発表している。
uk.whales.org/news/2014/01/whale-beer-banned-in-iceland

テーマ : 食に関するニュース
ジャンル : ニュース

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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