「外国語をはじめる前に」(黒田龍之助著、ちくまプリマー新書)

ちくまプリマー新書の「外国語をはじめる前に」は、1年半前に出版された本だが、意見が似ている黒田龍之助氏の著書ということで、年明け最初に読む本に選んだ。
www.chikumashobo.co.jp/product/9784480688835/

【何度チャレンジしても挫折してしまう外国語学習。その原因は語学をはじめる前の準備がたりなかったから。
文法、発音から留学、仕事まで知っておきたい最初の一冊。】

目次は以下の通り。

第1章  当たり前のことを確認する―外国語の基本
第2章  発音がすべてじゃない―外国語と発音
第3章  「単語」より「語」といいたいが―外国語と単語
第4章  文法は乗り越えられるか?―外国語と文法
第5章  「約束は約束だ」は無意味か―外国語と意味
第6章  言語はお互い似ていることがある―外国語と系統
第7章  どんな言語にも過去がある―外国語と歴史
第8章  ことばの違いは楽しいが…―外国語と方言
第9章  検定試験と留学は絶対に必要か―外国語と実力
第10章 通訳のほかにも仕事はある―外国語と職業

本書は外国語学部での講義をもとにして、高校生・大学生を主な対象に書かれているが、英語以外の外国語に興味を持つ人すべてに参考となるだろう。

この本では言語学の基本を紹介しながら、外国語を学ぶためにふさわしい姿勢や意識を伝えようとしている。
また、外国語学部学生の意見も紹介しているのが面白い。
そして、ちまたで人気の学習法といったものは扱わないところも、私が気に入っている点である。

内容のすべてを取り上げることはできないので、特に興味を持ったことについて簡単に述べておきたい。

第9章 検定試験と留学は絶対に必要か」では、外国語の実力を具体的に示す方法について考察している。

私のような化学者の場合は、博士論文や雑誌論文を英語で書くことで、専門分野の英語能力を示すことができる。
日本の学会誌では、掲載が決まった論文は、ネイティブチェックを受けてから印刷に回すこともあるので、修正後の原稿を見ながら冠詞の使い方や文章構成などを学ぶこともできた。

私は英検は一度も受けていないし、他の検定試験も受けるつもりはなかった。
ただし大学院時代に、ドイツ人ポスドクと机を並べていたこともあって、ドイツ語技能検定3級だけは取得しておいた。
TOEICを受験したのは、ドイツ留学から帰国した年で、民間企業研究員の募集要項に「TOEICスコア800以上」とあったから。

何年か前に、ドイツ語技能検定新2級を受験したが、これは独学だと自分の好きなサイエンス記事ばかり読んでしまい、語彙などが偏っていると感じたから。
実際に受験してみると、出題分野が違うためなのか、サイエンス分野では見かけない語句があって苦労した。
ただ、ヒアリング試験の方が正答率が高かった(約90%)だったので、これは留学経験が好影響を残しているようだ。

今は英語とドイツ語の翻訳・チェッカーをしているので、お金をもらっているということで、語学能力を示すことになっているだろう。

コラム1 英語だけが外国語じゃない!」も、みんなに読んでほしい個所だ。
受験英語がつまらなかった私は、高校3年のときに中国語とドイツ語も一緒に学んでいた。
親は困り果てていたが、私にとって大学受験は通過儀礼のようなもので、目標でもなんでもなかったから、好きなことをしていただけ。
そのおかげで語学の感覚が磨かれたようで、英語の成績も上がり、理系なのに数学がだめで、英語の点数で稼いで合格できた。

最後に、第10章翻訳に簡単に触れているので引用しておこう。

【翻訳は…生活していくためには大量の仕事をこなさなければならないという。しかも締切は絶対に守らなければならない。…ノンビリやれると思ったら大間違いだ。しかも多くの人が希望する文芸作品や絵本の翻訳なんてめったにない。ほとんどが技術文献などの専門分野で、内容は理系である。】

とにかく、外国語学部を受験したり、外国語を使う仕事を目指すならば、事前によく調べてから、専攻する外国語を選ぶべきだ。

テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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