反捕鯨国がアイスランド政府に捕鯨中止を申し入れたがナガスクジラ漁は続いている(9/22時点で133頭)

(最終チェック・修正日 2014年09月22日)

スロベニアで開催された国際捕鯨員会(IWC)の年次総会が終わり、日本の報道では、南極海調査捕鯨をめぐるやり取りばかり取り上げられていた印象だ。
調査捕鯨が必要だと言うだけで、科学的手法に基づく野生生物研究なのかどうかは、ほとんど説明されていなかった。
日本の食文化という観点が目立ち、商業捕鯨モラトリアムに対する異議申立を撤回した背景について、説明しようともしない。

IWCでの議題は、日本の調査捕鯨だけではなく、船舶との衝突事故やホエールウォッチングなど多岐にわたる。
反捕鯨国イギリスのガーディアン紙でさえ、「捕鯨が最大の脅威なのか」という記事を掲載し、漁業での混獲や海洋汚染など、他の要因を説明している。
www.theguardian.com/environment/live/2014/sep/16/is-whaling-the-biggest-threat-to-whales-shipping-climate-change

しかし、日本語での情報提供がわずかなためか、頑なな反捕鯨国に攻撃される被害者・日本という印象が植え付けられている。
さらに、商業捕鯨をしているアイスランドやノルウェーを批判しないのかなど、何も知らないことに起因する思い込みによる暴言も、あちこちで目にする。

アイスランドはIWC年次会合の間もナガスクジラ漁を続け、9月17日発表の統計では、124頭まで捕獲数を伸ばしている。

8日は109頭だったので、捕鯨船2隻で毎日捕獲を続けたと思われる。
(追記(9月22日):9/22時点で133頭に到達した。)
www.fiskistofa.is/veidar/aflastada/hvalveidar/

9月15日のアイスランドの報道では、EUやアメリカなど反捕鯨国が共同で、商業捕鯨の停止を求める外交措置(デマルシェ)を取ったとあったので紹介しよう。
www.mbl.is/frettir/innlent/2014/09/15/gagnryna_hvalveidar_islendinga/
www.mbl.is/frettir/english/2014/09/15/demarche_against_whaling_by_iceland/

英語記事では声明全文が掲載されているようなので、どのような抗議内容なのか、読んでみてほしい。

また、EUのプレスリリースでも、声明の内容が確認できる。
europa.eu/rapid/press-release_MEMO-14-529_en.htm
www.euinjapan.jp/media/news/news2014/20140915/170119/

アイスランドの商業捕鯨、特にナガスクジラ漁と日本への鯨肉輸出を停止するように、反捕鯨国が連帯して抗議している。
共同声明を出した国と地域は次の通り。
EUとその加盟28か国・アメリカ・オーストラリア・ブラジル・イスラエル・
メキシコ・ニュージーランド・モナコである。

中立のデンマークも入っているのは、グリーンランドの先住民生存捕鯨を認めてもらう交換条件に、アイスランドの商業捕鯨に反対することになったのかもしれない。
こういった駆け引きも外交なので、報道でも明らかにされないことが、どこかで決められていることだろう。

反捕鯨国としては、人口約32万人のアイスランドに対して、経済制裁も含めた外交手段を次々に繰り出せば、一番効果的だと考えているようだ。
水産業と観光業に頼っているアイスランドにとって、商業捕鯨をやめるというのは、現実的な選択肢である。
アイスランド国内でも、例えばホエールウォッチングの会社が捕鯨反対を唱えているし、鯨肉料理を出さないレストランの紹介までしているくらいだ。
icewhale.is/
icewhale.is/whale-friendly-restaurants/

アイスランド政府は、「持続可能な捕鯨」と主張しているのだが、捕鯨に関わる200人ほどの雇用を守るために、主要産業を犠牲にするとは思えない。
今後どのように展開するのか、アイスランドのニュースをチェックしていこう。

追記(9月22日):
IWC年次会合が終わった18日に、
EUなどのデマルシェに対してアイスランド外務省が声明を発表していた。
www.utanrikisraduneyti.is/frettir/nr/8227 (アイスランド語のみ)

この声明に関する大臣の発言を取り上げたアイスランド語と英語の記事は次の通り。
www.ruv.is/frett/erlendir-radamenn-hafi-kiknad-i-hnjanum
www.thedodo.com/iceland-defends-hunting-endang-724753488.html

「捕獲数は専門家が科学的に判断しており、捕鯨は他の漁業と同様に持続可能である」と主張している。
また、「持続可能な捕鯨が実施できるほどの資源量がある」とも説明している。

新聞記事に引用された発言では、「捕鯨を行う権利があり、鯨肉需要も存在する」そうだ。

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Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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