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ドイツで毒性の亜セレン酸ナトリウムが小包から漏れ出て大騒ぎ

(最終チェック・修正日 2015年07月30日)

私は勤務先で危険物と毒物劇物の担当のため、事故例を収集することも、業務の1つとして目標設定に掲げている。
有機合成研究には直結しない業務かもしれないが、リスクマネジメントの1つとして、様々な事故例から学ぶことも必要だ。

今日の昼休み、いつものようにインターネットでドイツのメディアをチェックしていると、毒性の亜セレン酸ナトリウムが小包から漏れて大騒ぎとなったという記事に気付いた。
www.ndr.de/nachrichten/niedersachsen/oldenburg_ostfriesland/Entwarnung-nach-Chemieunfall-bei-DPD,dpd100.html

この事故は7月25日土曜日午前に、ブレーメンの西約60 kmにあるウプレンゲン (Uplengen) で起きた。
宅配業者DPD (Deutsche Paketdienst) の集配センターで、ある小包が壊れて、中身が漏れ出した。
伝票には特に危険な物質とは記載がなかったため、従業員は素手でこぼれ出した中身を処理した。
すると周囲の人も含めてせき込むなどの呼吸困難の症状が出て、消防が緊急出動して対応した。

原因物質が毒性の亜セレン酸ナトリウムと判明して、汚染された可能性のある約50個の小包を受け取った人たちも検査されることになった。

一番かわいそうなのは、結婚式当日に汚染疑いの小包を受け取った新婚カップルで、検査のために900ユーロのウェディングドレスを脱いでポリ袋に入れ、そして除染シャワーを浴びることになった。
汚染されていないことが判明したものの、ゲストに呼んでもいない防毒マスク姿の消防署員によって、結婚式は台無しになってしまった。
www.noz.de/deutschland-welt/niedersachsen/artikel/600070/giftiges-paket-lasst-hochzeit-bei-leer-fast-platzen-1

この小包には、危険な物質を含むことが明記されていなかったため、差出人と受取人について、警察が捜査を始めている。

DPDは、利用者の責任と言っているようだが、他の小包をどうして配達してしまったのか疑問だ。
亜セレン酸ナトリウムが漏れてから、かなり時間が経過してから体調不良になったためだろうか。
それにしても、リスクがゼロなのかどうか、徹底的に確認しようとするドイツ人の特徴が現れた対応だと感じた。
(追記: 07月30日)
荷物を配達してしまって、結婚式を台無しにしたDPDは、おわびとしてパリ旅行をプレゼントしたそうだ。
www.oz-online.de/-news/artikel/159245/DPD-schenkt-Ehepaar-eine-Paris-Reise



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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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