ノーベル賞の報道の方針は「日本はすごい」と印象付けることなのか

21世紀になってから、日本人の自然科学系ノーベル賞受賞者が増えたためか、毎年10月初めはメディアが騒ぐようになったと思う。
基礎研究から応用まで、日本が世界をリードしていることは誇りに思ってもよいが、なんだか「日本はすごい」と印象付けることに躍起になっているように感じる。
加えて、受賞者が既にアメリカ国籍を取得しているのに、日本人としてカウントしようという、いわゆる国内ルールを持ち出すのも変な感じだ。

新聞報道では日本人以外の受賞者の研究を紹介する記事もあるが、テレビニュースでは時間配分がほとんど日本人受賞者ばかりだ。
その内容も、研究の紹介は少なく、人柄や幼少期のことなど人物評が多く、一般の人たちは科学に関心がないという前提なのだろうか。


今年のノーベル医学生理学賞では、抗マラリア薬アルテミシニンの発見も対象となっているのに、それに中国で自然科学系初の受賞なのに、その扱いは小さい。
イベルメクチンについても、アメリカの製薬メーカー・メルクとの共同研究に触れている報道もあるが、「大村氏が開発したイベルメクチン」と、日本単独の貢献と誤解しそうな書き方をしている記事もある。

物理学賞では、スーパーカミオカンデで検出しているのは、3種類あるニュートリノのうち主にミューニュートリノで、カナダのマクドナルド教授のグループの観測と合わせて、ニュートリノ振動が確認されたと言える。
しかしテレビニュースでは、マクドナルド教授の業績を紹介せず、ノーベル財団のインタビューから、梶田教授を尊敬しているという部分を切り取って放送していた。
スーパーカミオカンデや検出装置のすごさを強調するのはかまわないが、日本だけがすごいと誤解させるような報道はやめてほしい。

化学賞は日本人が受賞しなかったためか、DNA損傷の修復という面白いテーマなのに、ごく短く紹介するのみ。
面白いと思っているのは、私が化学者だからで、一般社会はそんなことはどうでもいいと、メディアは判断したのかもしれない。

他のテレビ番組でも、やたらと日本はすごいと印象付けようとしていると思われるものがある。
そのような雰囲気にさせているのは、誰の意向なのだろうか。
政府や与党がメディアチェックをしているそうだが、ノーベル賞の報道まで、誰かのために配慮する必要があるのだろうか。

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Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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