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「中南米」の英訳は?

今週も、スマートフォンに届く転職情報のメールを気にしながら、現勤務先での有機合成実験をしていた。
研究所の閉鎖が決まってから、上司も含めて全員が転職先を探し始め、モチベーションの維持が課題となっているが、余計なことを考えずに、最後の仕事をきちんと終えることに集中しようと努力している。

転職情報メールに埋もれてしまいそうだったが、翻訳会社2社からチェックの依頼が来ていることに気付いた。
日英と独日のチェックで、スケジュールがちょうどずれていたので、どちらも受注することにした。

日英翻訳チェックを、なぜ日本人の私が行うのか、それは以前も書いたように、ネイティブ英訳であっても原文日本語の解釈が正しいかどうかを確認する必要があるから。

この案件は、2人の翻訳者が同じ日本語原稿を英訳するトライアル課題であり、クライアントの評価が高い方の翻訳者が、大量の翻訳を担当することになるそうだ。

ということで当然ながら、同じ日本語から英訳しているのに、全く異なる表現になっている。

いくつか気になった点があるが、今回は 「中南米」 の英訳について考えたい。

翻訳者Aは "Central and South America" と、翻訳者Bは "Latin America" としていた。
私が選んだのは、翻訳者Bと同じ "Latin America" である。

翻訳対象の会社案内では、メキシコ支社を含む中南米での事業について説明しており、「メキシコが中米に含まれるかどうか」が判断基準となった。
中米の範囲とは一般的に、メキシコの南に接するグアテマラとベリーズからパナマまでを指す。
地理学上は、メキシコのテワンテペク地峡から中米が始まるとするようだが、国単位で考えると、メキシコは北米の扱いとなる。
だから、英語で "Central and South America" と書くと、メキシコは含まれない。

ただし日本語で 「中南米」 というと、「(広義の)ラテンアメリカ」 のことを指して、「メキシコ以南の国々」 という意識で使っている。
ということで、メキシコを含むことを意識して、"Latin America" を選択した。

その会社のHPでは、グローバル事業の説明で、日本語で 「中南米地域」 の見出しが、英語版では "Latin America" になっている。

また、外務省中南米局の英語名称は、"Latin American and Caribbean Affairs Bureau" になっている。
そして 「中米課」 の英語名称は、"Mexico, Central America and Caribbean Division" であり、メキシコが中米ではないことは明らかだ。
www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/sosiki/chunan.html

ということは、これまで 「中南米」 と書いていたが、厳密には 「メキシコおよび中南米ならびにカリブ海」 としなければならないのか。

翻訳の仕事をしていると、いろいろと調査することになり、雑学というのか、新しい知識が得られるので楽しい。

正社員での転職は、3社から不採用通知が届いたため、化学メーカーの研究職派遣か、外資系メーカーでの社内文書翻訳をする派遣社員、そして私立大学薬品管理担当の派遣社員に期待しよう。
そして本当に失業したら、独日特許翻訳で食いつなごう。

テーマ : 英語
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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