ドイツ語:「Anti-Pfingsten」を「(民族や国家間の)分断・分裂」の意味で使った記事

ドイツの新聞・雑誌の記事を読んでいると、キリスト教の基礎知識が必要となる場合がある。
今回は、Süddeutsche Zeitungから、「ヨーロッパの分裂」についての記事を取り上げよう。
聖霊降臨(ペンテコステ)の知識が必要な内容である。
www.sueddeutsche.de/politik/europa-anti-pfingsten-1.2992611

記事タイトルにもある Anti-Pfingsten は、通常は「反ペンテコステ派」などとされるが、ここでは「民族・人々・国家間の対立・分裂・分断」を意味していると考えられる。

5月15日はキリスト教会の誕生日とも言われる聖霊降臨(ペンテコステ)の主日であった。
クリスマスやイースターと並んで、キリスト教にとって重要な大事件が起きたことが聖書に記されている。

新約聖書、使徒言行録第2章から抜粋して記しておこう(新共同訳聖書)。

1五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、
2突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。
3そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。
4すると、一同は聖霊に満たされ、゛霊〟が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした。
5さて、エルサレムには天下のあらゆる国から帰って来た、信心深いユダヤ人が住んでいたが、
6この物音に大勢の人が集まって来た。そして、だれもかれも、自分の故郷の言葉が話されているのを聞いて、あっけにとられてしまった。

38すると、ペトロは彼らに言った。「悔い改めなさい。めいめい、イエス・キリストの名によって洗礼を受け、罪を赦していただきなさい。…
41ペトロの言葉を受け入れた人々は洗礼を受け、その日に三千人ほどが仲間に加わった。

44信者たちは皆一つになって、すべての物を共有にし、
45財産や持ち物を売り、おのおのの必要に応じて、皆がそれを分け合った。

47… こうして、主は救われる人々を日々仲間に加え一つにされたのである。

ここで強調したいことは、聖霊によって外国語を話せるようになったことよりも、バベルの塔崩壊以来バラバラとなっていた人々が、言葉や文化の壁を越えて一つにされたことである。

神でもある「聖霊(der Heilige Geist)」が与えられることによって人々が一つになったわけだが、いわゆる「ヨーロッパ精神(der europäische Geist)」でヨーロッパの各国も一つになろうと努力してきたことが知られている。

しかし最近のヨーロッパでは、統合に向かうよりも、対立・分裂・分断が目立っている。
「我々ヨーロッパ人は」という意識よりも、「我々フランス人は」や「我々ポーランド人は」などの「様々な我々」という意識が強まっている。

すべてのヨーロッパ人がキリスト教徒ではないが、それぞれの文化や言葉などが異なるままでも、一つにまとまって助け合って平和な世界を作ろうと、このペンテコステの時期に考えてもよいのではないだろうか。

テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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