「相模原事件の問い」(「世界」2016年10月号)

4月に派遣社員となったとき、推定年収が約200万円少なくなったため、家計見直しの一環で、本を買うのをやめた。
7月から翻訳専業となり、8月の翻訳料金が50万円を超えたので、読みたい本を再び買うことができるようになった。
ただ、翻訳案件が切れ目なく続いていて時間がないため、どうしても読みたい本だけを選んで購入している。

今月購入した本の1つは、岩波書店の雑誌 「世界」(2016年10月号)である。
www.iwanami.co.jp/sekai/index.html

読みたかった記事とは、「相模原事件の問い」。
・「語り」に耳を傾けて (熊谷晋一郎、東京大学准教授、小児科医)
・福祉番組の制作現場から相模原事件を考える (熊田佳代子、NHKプロデューサー)
・施設で生きるということ (有薗真代、京都大学非常勤講師、社会学者)

私の姉は、ダウン症に加えて、出産時の医療ミスにより、手足に軽いまひが残っている。
私は姉と共に、国立大学附属小学校に通ったが、姉が特殊学級にいたため、同級生からは、「あんな変なのを学校に連れてくるな」などの暴言を浴びせられた。

今は福祉団体のリサイクルショップで元気に働いているが、20歳までは治療薬の副作用で情緒不安定で
攻撃的だった。
書店で買いたい雑誌が売り切れだったとき、大声を出して騒いだこともある。
そのため、商店街やデパートから、迎えに来るようにと、苦情電話がかかってきたこともある。

姉の知能は、検査すると10歳程度なので、
いろいろと困った行動をしても、子どものままだと思えば許せるし、姉の分まで二人分勉強したから今の私があるのだし、クリスチャンになったのも、姉との関係を考えてたどり着いたものだ。

姉が障害者でよかったと、私は神に感謝できるようになったが、相模原事件の容疑者以外にも、障害者を排除したい人がいるので、姉がこれからも安全に暮らせるのかどうか心配している。

熊谷准教授の記事は、障害者(脳性まひ)の立場からのもので、事件の追悼集会で読まれた遺族のメッセージの他、海外も含めて寄せられた約400通のメッセージの一部も紹介している。
追悼メッセージは、熊谷准教授のHPで紹介されている。
touken.org/20160806tsuitosyukai/

また、この記事の最後に、自己決定の名の下で優生思想が作用し始めていることに言及している。
木村草太氏のエッセイも引用して、役に立つかどうかという国家的価値ではなく、
個人の尊厳・人権を優先すべきと指摘している。

この優生思想に基づく障害者虐殺について考えるとき、ナチスの犯罪について、再度学ばねばならないと感じる。

NHKでは戦後70年の2015年に、ETV特集で、「それはホロコーストの”リハーサル”だった~障害者虐殺70年目の真実~」を放送した。
2つ目の記事にあるように、今週末9月24日23時から、教育テレビで再放送される。
www.nhk.or.jp/docudocu/program/20/2259520/

ナチスの人道に対する犯罪について考えるとき、それは過去の話ではなく、現在にもつながっていることに注意しなければならない。
障害者や治療効果が見られない患者の安楽死について、ナチス台頭よりも前から、ドイツでは、「劣等な人間を淘汰し優秀な遺伝的素質を持つ人間だけを残す」という優生思想が広まっていた。
1920年には、「生きるに値しない命を終わらせる行為の解禁」という本が出版されているくらいだ。

そしてヒトラーは、
社会保障費を削減して戦費を調達するために、第二次世界大戦開始後に、精神障害者、知的障害者、回復の見込みのない患者を2年間で7万人を殺害した。
カトリック教会からの抗議があって一時的に縮小したものの、終戦までに20万人が殺害された。
薬物注射など様々な安楽死方法が実験されて、最終的に
毒ガスを使う方法が、ユダヤ人虐殺にも使われることになった。


ナチスの犯罪に加担した医師たちは、強いドイツ帝国を取り戻すために、正義だと信じて障害者を殺害していた。
相模原事件の容疑者も、一方的ではあるが、同様に正義だと信じて行動したように思われる。

再放送を一人でも多くの人が視聴して、現在の我々に対する警告として受け止めることができるように祈りたい。

テーマ : 凶悪犯罪
ジャンル : ニュース

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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