ドイツ語2016年の言葉は「postfaktisch(脱真実の・ポスト真実の)」

翻訳業を仕事にしていることもあり、ニュースに出てくる新語や、世相を反映する注目の言葉に関心がある。

12月9日に発表されたドイツ語2016年の言葉は、postfaktisch が1位となった。
gfds.de/wort-des-jahres-2016/

これは、英語の post-truth (脱真実の・ポスト真実の)をドイツ語に翻訳した造語である。
この post-truth 自体も、Oxford Dictionaries で2016年の言葉に選ばれている。
en.oxforddictionaries.com/word-of-the-year/word-of-the-year-2016

この英語の形容詞は、20年ほど前から使われているが、今年になってから使用頻度が激増したため、今年の言葉に選ばれた。
ドイツ語でも、特に政治関係のニュースで使われるようになった。

事実・真実に基づかない情報を流布させて大衆の感情に訴えた例として、イギリスのEU離脱を主張した政治家と、アメリカ大統領選挙が挙げられている。

ドイツ語の第2位は、その例の1つに関連した Brexit である。
第4位の Schmähkritik (誹謗中傷の批判)と、第5位の Trump-Effekt も関連した言葉である。

他の順位の言葉を見ても、人々が事実に基づく判断よりも、感情の赴くままに行動していた一年だったのかと思う。

第3位の Silvesternacht は、大晦日の夜にケルンなどで女性たちが、北アフリカやアラブ諸国出身の男性たちに襲われた事件を指している。
この事件後、ドイツ国内では、イスラム教徒や難民への反感が強まった。

第9位の Burkiniverbot は、フランスでのことだが、公共の場で宗教色の強い服装を認めるかどうかが問題となった。

日本の新語・流行語大賞でも、社会問題を背景とした言葉がいくつか選ばれてはいるが、「流行したもの・現象」と一緒になっているためか、社会問題への注意喚起が弱いように思える。
いろいろな分野の言葉を並べてバランスを取ろうというのが日本的なのかもしれないが、私としては、もっと社会の闇をあぶり出して、真剣に考えることを促すような言葉だけを選んでもよいと思う。

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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