ドイツ語翻訳者はやはり足りないようだ

今月納期の英日翻訳2件は、まだ作業中なのだが、夕食後の休憩ということで、今月経験したドイツ語和訳のチェック案件についてメモしておこう。

12年前に最初に翻訳会社に登録した時は、化学・バイオ系のドイツ語翻訳者としてだった。
専門知識が活かせると思っていたが、最初に受注した案件は、販売外交員の契約書だった。
その後、化学の特許や論文の他に、自動車関係の雑誌記事、奨学金の応募要項、健康診断の結果など、多岐にわたる案件を処理してきた。

つまり、理系分野に限らず、ドイツ語翻訳者は足りないということだろう。

しかし、ドイツ語技能検定の試験会場では、学生だけではなく、社会人から高齢者まで、多様な人々を目にしたので、本当に足りないのだろうかと疑問に思うこともあった。

それでも、独立開業を決意した経緯などでも示したが、翻訳専業のはずなのに、専門用語を調査していない、間違いを指摘しても修正しない、受注した後にキャンセルなどを経験して、信頼できる翻訳者は足りないことを痛感している。

私自身も、完璧ではないのだが、80歳まで続けられるように、日々向上しようと意識している。
だから、担当した案件から学んだこと、クライアントからのフィードバックを、次の案件に活かそうと考えている。

同じ考え方の翻訳者が一緒に登録していれば、複数案件の納期が重なって忙しいときに手分けして作業できるのだが、ドイツ語翻訳者は少ないためか、失注することもある。

今月も、英日翻訳の作業中に、急なドイツ語特許和訳の打診があった。
納期とワード数を見て、絶対に無理だと思ったので、他の翻訳者が和訳したものを、私がチェックするならば可能であると返答した。

担当する翻訳者が見つかり、予定より1日前に和訳が届いたので、作業中の英日翻訳を中断して、チェックを開始した。
するとすぐに、訳抜け、用語の不統一、綴りが似ている単語との混同に気付いた。
一度差し戻して、修正してもらう間に、英日翻訳の作業を進めたいと思ったが、以前も同様のことがあった翻訳者らしく、私が全部直した方が早いということになった。


(最終チェック・修正日 2016年07月18日)私は先週、英語・ドイツ語の専業翻訳者になることを決断した。研究職派遣社員を2年くらい続けてからと思っていたが、いろいろと考えることがあり、そしてちょうどある翻訳会社から声がかかったので、この機会を逃さずに決意を固めた。派遣社員としての就業は、6月30日で契約満了の扱いで終わる。7月1日から、まずはフリーランス契約で仕事をしてみて、どのような雇用形態がふさわし...
専業翻訳者になる決断を促した独和チェック案件:「ケイ素」を「ジリチウム」にしないでほしい


修正しながら気付いたことは、特許の内容、つまり機械の動き方や測定方法を理解していれば、誤訳しないはずだ、ということだ。
私は理系研究者ではあったが、特許に出てくる装置を全て触ったわけではないので、添付の図を参考にしたり、類似の装置を調べてみたり、ある程度調査してみて、何を説明しているのかイメージできるようにしている。
そのようにイメージすると、多義語の解釈のときに役立つ。

例えば、今回は、Scheibe についてメモしておこう。

辞書で調べるとわかるように、Scheibe には様々な意味があるが、主な語義の間には、「円盤状・板状のもの」 という共通項がある。
「ガラス板」 という意味もあり、自動車の特許では、Scheibe だけで 「ウィンドウガラス、フロントガラス」 と和訳することもある。

それで今回の案件だが、「真空チャンバ内のサンプルを Scheibe を通して観察する」 という意味の説明があった。
翻訳者は、「~を板を通して観察する」 としていたのだが、これではその板が透明であるというニュアンスが含まれていない。

真空チャンバのメーカーのサイトを参考にすればよかったと思うが、最初から疑問を持つこともなく、それに調査する気もないのだろう。

この Scheibe は、「内部を観察するためののぞき窓」 のことなので、簡単に 「ウィンドウ」 に修正しておいた。

翻訳料金のレートは、リーマンショック後に下がってしまい、希望のレートよりも低いことが多い。
そのため、できるだけ
早く処理して、数をかせごうとしているのかもしれないが、次の仕事をもらうためにも、お金よりも信用の方が大切だと気づいてほしいものだ。

優秀なドイツ語翻訳者は、既に翻訳会社や特許事務所の社員となっているのか、それとも専属契約となっているのか、新たに募集してもなかなか集まらないようだ。

私は学位論文を書くために、大量のドイツ語文献を読む必要があり、また、ドイツにも留学したから、ある程度のレベルに達したが、英語一辺倒の日本では、今後もドイツ語翻訳者は足りないままではないだろうか。

翻訳会社の他に、ドイツ大使館、ゲーテインスティテュート、日欧協会、日独協会などが連携して、なんとかならないものだろうか。

作業中の英日翻訳が終わると、来月初めは、和独のチェック案件に取り組むことになっている。
この案件を受注したのも、ドイツ語翻訳者は足りないことの証拠かもしれない。

教会の会員には英語とフランス語の翻訳者がいるのだが、ドイツ語翻訳者はいない。
ドイツ語がわかる学者はいるが、特許翻訳を頼めるような相手ではない。
ドイツ文学者の秘書をしていた方もいるので、口コミで広めてもらって、手伝ってくれそうな人を紹介してもらうかと思う。

テーマ : SOHO・在宅ワーク
ジャンル : ビジネス

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Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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