ドイツ研究振興協会(DFG)などがトランプの入国禁止大統領令に反対声明を発表

(最終チェック・修正日 2017年02月28日)

トランプ大統領が地球温暖化に対して懐疑的であることなど、選挙戦最中から科学界からは懸念の声が聞こえていた。
加えて、中東・アフリカ7か国からの入国禁止大統領令を発表したことで、批判の声は大きくなっている。

アメリカには、入国禁止の対象国も含めて全世界から、自国では得られない研究環境やテーマを求めて、研究者が集まっている。
競争社会にはいろいろと問題はあるものの、イノベーションが生まれる土壌であることは事実だ。

しかし、この入国禁止という大統領令が有効になると、そして更に対象国が拡大されると、アメリカの大学や研究機関のレベルが下がる恐れがある。
また、留学だけではなく、アメリカで開催される国際会議や学会、シンポジウム、セミナーなど、国際的な研究者の交流も阻害されてしまう。

先日もNHKのニュースで、日本で研究しているイラン人研究者が、アメリカの学会に参加できなくなったことを報じていた。
しかし日本では、大多数の日本人には関係ないためか、あるいは、経済関係や安全保障の方が重要だからなのか、日本学術会議をはじめとしてトランプ大統領令に反対しているとは聞かない。
国際的な研究環境の危機かもしれないのに、日本人は対象外のはずだから、ということで、国際社会と連帯しようとまでは考えないのだろう。

それに対してドイツでは、政府が反対声明を表明しただけではなく、2月3日にドイツ研究振興協会(DFG)やマックスプランク協会など9団体が連名で、「Wissenschaft ist internatioal(科学は国際的である)」という声明を発表した。

例えば、マックスプランク協会のHPでは、次のリンクでPDFをダウンロードできる。
www.mpg.de/11033476/Stellungnahme-Wissenschaftsorganisationen_Praesidialdekret-Einreise-deutsch.pdf


この声明文を紹介するマックスプランク協会の Standpunkte には、次のように書いてある。

Es ist "eine pauschale Benachteiligung von Menschen aufgrund ihrer Herkunft und damit ein Angriff auch auf die Grundwerte der Wissenschaft".
(この大統領令は、人々をその出身に基づいて一律に不利に扱うことであり、それと同時に科学の基本的価値への攻撃でもある。)

声明文では、入国禁止措置は、テロとの戦いに対して不適切な方法であり、科学界での国際的共同研究や交流に影響すると指摘し、この措置をすぐに撤回することを要求している。

ドイツには、イランから学生や研究者が留学しているだけでなく、移民も受け入れている。
イランとドイツの二重国籍の人も多いという背景もあるため、今回の抗議声明が出るのも当然かもしれない。

それでも、自由な交流が原則である科学の世界に国境を持ち込もうとする試みには、その原則を守るためにも、断固として反対しなければならない。

期待しても無駄かもしれないが、日本の研究機関や学会のうちどこか1つでもいいから、抗議声明を出してほしいものだ。
私は翻訳専業になってから、日本薬学会などを脱退したため、代わりに学会員の誰かが要望を出してほしい。

追記(2月28日):
1月31日に発表された「国際科学会議(
International Counsil for Science (ICSU))」の声明に続いて、2月16日になってから、日本学術会議会長談話が発表された。
www.icsu.org/publications/icsu-position-statements/statement-on-the-us-governments-executive-order-201cprotecting-the-nation-from-foreign-terrorist-entry-into-the-united-states201d/
www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-d9.pdf

日本学術会議を代表していても、会長談話ではなく、明確な抗議声明を出してほしかった。
日米首脳会談の日程に配慮したと思われないように、もっと早く行動してほしかった。

テーマ : 国際ニュース
ジャンル : ニュース

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

FC2カウンター
カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR