ドイツ語:Wurst (ソーセージ)は肉製品のみに使うべきか?

翻訳の仕事をしていると、辞書に載っていない新語に出会うこともあるので、忙しい中でもメディアをチェックするようにしている。

最近、興味を持ったのは、ドイツ語の Wurst (ソーセージ)を肉製品にのみ使うべきで、菜食主義者向けの擬似肉製品に使ってはいけないという話題だ。

昨年末にドイツのクリスチアン・シュミット農業大臣が、Wurst は肉製品というイメージが強いため、菜食主義者向けに大豆から作られた擬似ソーセージの vegane Wurst や vegetarische Wurst という表記は勘違いする恐れがあり、消費者保護の観点から Wurst を使ってはいけないと発言した。

例えば、ZEIT紙の記事は次の通り。
www.zeit.de/gesellschaft/zeitgeschehen/2016-12/agrarminister-christian-schmidt-kennzeichnung-vegetarische-produkte

これに関する Gesellschaft für deutsche Sprache e.V. (ドイツ語協会)の言語学的観点からの記事は次の通り。
gfds.de/es-geht-um-die-wurst/

Wurst を辞書で調べればわかるように、肉製品のソーセージの他に、「長い円筒形状のもの、ソーセージに似た形のもの」を指す。
そのため、vegane Wurst は、「ソーセージの形状をした、ビーガン用食品」 という意味と考えてよい。
形容詞 vegan や vegetarisch があるので、間違えることはないだろうとのことだ。

それでも綴りを、(vegane) Wurst を Vurst に変えて、はっきり示そうという提案もあるそうだ。
他の単語も、例えば、(veganes) Fleisch (肉)を Vleisch に、(veganer) Fisch (魚)を Visch に、(veganer) Quark (カード)を Qvark に。
これはエレガントな方法ではないが、
vegan も vegetarisch も v で始まるから、表記法としては統一感があり、誤解を防ぐかもしれない。

しかし、Milch (ミルク、牛乳)と比べると、肉製品は法律的には保護されていないと言える。

Milch は、「乳牛が分泌する乳汁」の意味にだけ使うことができるが、他の動物の乳は、例えば、Schafmilch (羊乳)や Ziegenmilch (ヤギ乳)と書かねばならない。
また、豆乳は Sojamilch と書くこともあるが、動物由来ではないため、Sojadrink (大豆飲料)の方が望ましい。

とは言いながら、食べ物の名前に含まれる基礎語の意味は、その食べ物の特徴とは無関係であったり、単なる比喩のこともある。

例えば、Fleischtomaten (ビーフトマト)は、大きな多肉質のトマトであって、肉を含まない。
Leberkäse (レーバーケーゼ)は、ひき肉やレバーを使ったミートローフ風の料理であって、チーズではない。
Sandkuchen (パウンドケーキ)は、もちろん砂を含まない。

だから、Wurst は肉製品だけに使えと言うのは、極端な意見ということになるだろう。
ただ、大臣が提案しているので、何かの拍子に、消費者保護関連の法律に書かれてしまうかもしれない。

食品関係の特許に関係するかもしれないため、今後の動向も、仕事の合間にチェックしておきたい。

テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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