実家の敷地内に捨てられていた子猫

私の実家は、昔からなぜか猫が集まる場所のように思える。
野良猫のときもあれば、どこかの飼い猫が移り住んだ場合もある。

獣医の父は、乳牛が専門で、野良猫を嫌っていたが、「これはオスだ」だとか、「これはダニが原因だ」などと、家族の質問には答えていた。
母が友人から子猫をもらってきたときは、素性がわかっているためか少し関与し、寄生虫の駆除のために、知人に頼んで、注射をする手配もしていた。
その猫は、何度も注射したことが原因なのか、家出してしまった。

母は動物が好きなので、散歩で通りかかる犬を撫でたりしている。
猫でも飼えば、毎日が楽しくなるのかなと思って聞いてみたが、トイレを教えたりするのが面倒だし、エサ代がもったいないので、飼う気はないそうだ。

猫はもう飼わないなと思っていたら、2か月ほど前の早朝、実家の敷地内に所有しているアパートの階段に、子猫を入れた段ボール箱が置かれていることに気付いたそうだ。

ただ、飼うのも面倒なので、実験動物として使う予定があるかどうか、大学に問い合わせた。
昔は野良猫を捕まえて、実験動物にしていたこともあったそうだが、今はそのようなことはしていないため、当然ながら断られてしまった。

次に市役所に行って、猫を捕まえてほしいと相談したところ、市役所でも保健所でも、猫の捕獲はしていないと断られた。
そして職員からは、対処方法として、飼い猫が捨てられたのだから、飼い主を探している旨の張り紙をするようにと言われたそうだ。

ということで、道路から見えるように張り紙をして、子猫にはエサを与えて、敷地内で自由に遊ばせていた。
すると、登下校中の幼稚園児や小学生が子猫に気付き、朝夕必ず立ち寄って、子猫を撫でることが日課となった。
子猫も、裏側の自転車置き場にいても、登下校の時間になると、道路に近いアパートの階段付近にやってきて、子どもたちと遊ぶようになった。

そして、アパートの一室で行っている書道教室の生徒の家族が猫好きとのことで、わざわざ車でやってきて、おいしいキャットフードを差し入れするようになった。
近所の猫好きの人たちも、買い物などのついでに寄るようになり、子どもたちも含めて町内の交流の場のようになっていた。

しかし、猫が嫌いな人も、町内にいることを忘れてはならない。

ある日、その子猫が道路の向こう側にある家の敷地に行き、車の下に潜り込んでしまった。
それに気付いた猫嫌いの家主から、「車に傷がついたらどうするつもりだ」と、子猫を撫でに集まっていた人たちが、怒鳴られてしまった。

ということで、キャットフードを差し入れしていた人が、その子猫を引き取ることになった。
既に5匹飼っているとのことだが、環境の変化にすぐに慣れたとのことで、そのまま里親ということで、任せることにした。

その人は、かわいい子猫が増えて幸せそうなのだが、かわいそうなのが、子どもたちだ。
事前に何も知らされずに、子猫が突然いなくなったため、登下校時の楽しみがなくなった小学生はしょんぼりし、幼稚園児は泣いてしまった。

ということで母は、「子猫には、やさしい里親が見つかりました」 という張り紙を掲示した。
捨てた人は、今頃どうしているのだろう。

テーマ : 猫の里親探し
ジャンル : ペット

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

FC2カウンター
カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR