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ともに生きる社会かながわ推進週間

相模原市の障害者支援施設で起きた殺傷事件から、1年となった。
今週は、「ともに生きる社会かながわ推進週間」である。

ここに、「ともに生きる社会かながわ憲章」を掲載しておこう。
www.pref.kanagawa.jp/cnt/f535463/

一 私たちは、あたたかい心をもって、すべての人のいのちを大切にします

一 私たちは、誰もがその人らしく暮らすことのできる地域社会を実現します

一 私たちは、障がい者の社会への参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除します

一 私たちは、この憲章の実現に向けて、県民総ぐるみで取り組みます


他者の人権を守ることは、自分の人権を守ることでもある。
しかし、人は誰でも、「この人さえいなければ」 と思うことがあり、自分の方が正しいと思い込んで傲慢になることもある。
そのように、理想とはかけ離れた存在であり、罪を生み出す性質を持っているのである。

この1年は特に、障害者を家族に持つ者として、どのようなメッセージを伝えるべきか、悩んでいた。
多様性を認める社会を目指すことを善として主張しすぎると、今度は逆に、差別する人を悪として断罪して排除することになるという、矛盾もある。

所属するプロテスタント教会では、ダウン症の姉との関係について2年前に話をしたものの、事件後には、牧師の他には役員の1人と話をしただけで、会員の前でどのような話をすればよいのか、わからなかった。

それでも、ともに生きる社会かながわ推進週間に合わせて、現時点での思いを、一部だけだが、ここに記しておこう。

この1年間、主に何を考えていたのかというと、キリスト教の隣人愛をどのように実践するかという課題である。

困っている人や弱者を助けるということはできるかもしれないが、差別をする人を赦し、悪人のために祈ることはできるだろうか。

イエスの言葉を、ルカによる福音書6章27節~29節より抜粋して引用しておこう(新共同訳)。

27…敵を愛し、あなたがたを憎む者に親切にしなさい。 28悪口を言う者に祝福を祈り、あなたがたを侮辱する者のために祈りなさい。 29あなたの頬を打つ者には、もう一方の頬をも向けなさい。…】

10月に私が担当する話は、エゼキエル書の「見張りの務め」なのだが、この「隣人愛」も併せて取り上げる予定だ。

このときの話の中心は、約20年前の大学で起きた事件で、私がどのように対応したのかだ。

見張りの務めというのは、分かりやすく言えば、リスクマネジメントの観点から事前に警告することである。

そのとき、悪いことをしている人に忠告するわけだが、その悪人が滅びることを望むのではなく、正しい道に立ち帰ることを祈りながら忠告するのである。

その忠告に対して、相手が聞く耳を持たなくても、見張りは危険が迫っていることを告げなければならない。
相手が忠告に従うかどうかは、見張りの責任ではないが、どうせ聞かないだろうと諦めて、忠告をしなかった場合は、見張りの責任が神から問われる。

障害者を差別し、生きていても無意味だと考えている人に、「あなたは破滅の道を歩んでいる。手遅れになる前に正しい道に戻りなさい」と忠告することが、見張りの役目である。

神は、悪人が死ぬことを喜ばず、むしろ立ち帰ることを望んでいるから、神の命令に従って警告するのだ。

予定では、この話の後半で、ナチスに抵抗した告白教会や、現在の問題として難民を受け入れるかどうか、そして、相模原での事件の犯人を赦すことができるかを会員に問う。

キリスト者だからといって、隣人愛を実践できるわけでもない。
理想と現実との狭間で、どのように生きるべきかを問いながら苦しみ、もがき続けているのが、キリスト者の実際の姿である。

私の姉は、ダウン症で、知能検査をすると10歳と判定されている。
毎日生きていることが楽しいようで、自分のことを殺そうとする人がいるなどとは、想像もしていないようだ。
明るい姉を見て、
一人暮らしの高齢者や、家族を自殺で失った人などが、「ひまわりのようだ」と感じて、癒されている。

そのように受け入れてくれる人もいる一方で、心配性の私は、この事件後に特に、実家が夜中に放火されて、姉が殺されるということまでも考えてしまい、悩んだ夜もあった。

そのようなときでも、差別をする人が生まれる社会的背景に目を向けて、理想の社会に近づけるにはどうすればよいのかを考え続けていきたい。

そして、障害者の姉が、周りにどのような影響を与えているのかを語ることで、キリスト者が何を考えているのか、教会の外にも伝われば幸いである。

テーマ : 時事ニュース
ジャンル : ニュース

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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