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訳語などの比較のために独和辞典を追加購入

(最終チェック・修正日 2017年08月21日)

私がこれまで利用してきた独和辞典は3種類である。
小学館独和大辞典第2版と大修館書店マイスター独和辞典3版は、紙の辞書である。
三省堂クラウン独和辞典は、三省堂ウェブディクショナリーの有料会員で利用しているが、
検索結果を見ると、改革以前の正書法であったため、最新版ではないと思われる。

辞書によって編集方針が異なることと、新正書法を採用するかどうかも分かれるため、訳語の比較も含めて、複数の辞書をいつでも参照できるようにしておきたい。

ということで、今週、独和辞典を3種類追加購入した。
三修社新現代独和辞典新装版、三修社アクセス独和辞典第3版、そして郁文堂独和辞典第二版である。

この中で、新正書法を採用しているのは、アクセス独和辞典第3版のみである。
クラウン独和辞典の最新の第5版は新正書法であり、ウェブディクショナリーよりも新しいため、紙の辞書を買う必要があるだろう。

これからドイツ語の翻訳に参入したい人は、まずは新正書法のアクセス独和とクラウン独和を購入することを勧めたい。
その後、必要に応じて、専門辞書も含めて追加購入すればよいと思う。

訳語の比較として、化学物質の Benzol (ベンゼン)を例示しよう。
とりあえず手元にある独和辞典を比較して、後で追記しておきたい。

追記(8月19日、21日:図書館などで調べた結果を追記し、表記を変更した。)

同じ化学物質の名称が複数存在することがある。例えばエタノールは、エチルアルコールとも呼ぶ。慣用名も含めて別名をどこまで許容するのか、それは学会や論文誌によっても扱いが異なる場合がある。今は危険物取扱者試験の勉強をしているので、消防法などに出てくる化学物質の名称が気になっている。...
ドイツ語特許の和訳であっても化学物質名「ベンゼン」を「ベンゾール」にはしないでほしい


Benzol n. -s / -e ((複数は種類を表すときのみ))

a) 
ベンゼンベンゾール
郁文堂 独和辞典第二版

b) ベンゾールベンゼン
小学館 独和大辞典第2版
小学館 プログレッシブ独和辞典第2版
大修館書店 マイスター独和辞典3版
三修社 アクセス独和辞典第3版

c) 
ベンゾール
三省堂 クラウン独和辞典(三省堂ウェブディクショナリー及び第5版)
三修社 新現代独和辞典新装版
三修社 独和広辞典第1版
同学社 アポロン独和辞典第3版

d) ベンゾールベンジン
博友社 木村相良 新訂独和辞典(2005年34刷)

現在は推奨されない「ベンゾール」のみを記載している辞書がある。
「ベンゼン」と併記している場合でも、b) では「ベンゾール」の方が前にあるので、優先して使用されていると勘違いされるだろう。

化学物質名の1つくらいどうでもよいと思う人もいるかもしれないが、特許翻訳では、命名法に従ってベンゼンとしてほしい。
確かに、ベンゾールという別名を使う分野も残っているが、クライアントから特に指示がない限り、ベンゼンにしてほしい。

JISではベンゾールの項目が廃止されて、ベンゼンになっている。
しかし、輸出入の統計や揮発油税関連の文書などでは、未だにベンゾールが残っている。
危険物取扱者試験の過去問題集にもベンゾールが出てくる。

それでもベンゼンのみを使ってほしい理由がある。
ベンゾールは、粗製ベンゼン(ベンゼンを主成分とする芳香族炭化水素混合物)を意味することがあるからだ。
商品名としてベンゾールを使うことはあるかもしれないが、化合物の名称として使うことは避けた方がよい。

この粗製ベンゼンの場合、英語の benzol / benzole のカタカナ表記であるようだ。
資料としては古いが、森北出版の化学辞典普及版から引用しておこう。

【ベンゾール [benzol(e)] イギリス,アメリカなどでは純粋ではない工業用ベンゼンをいう.わが国ではドイツ語の benzol と混同してベンゼンと同義に使用されることが多い.】

特許に限らず、翻訳対象分野での最新の用語を採用するために、辞書を鵜呑みにせず、常に情報を更新すべきだと実感している。

テーマ : ドイツ語
ジャンル : 学問・文化・芸術

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ベンゼンをベンゾールと呼ぶのはもうやめよう

有機化学を勉強すると、芳香族化合物で必ずベンゼンを学ぶ。 6個の炭素原子が六角形の環を作るように互いに結合しているのが特徴だ。 化合物の名前は、昔から使われている慣用名や通称、別名などがたくさんあるので、混乱することもある。 ベンゼンでも、ドイツ語の Benzol に由来すると言われる「ベンゾール」を使う人がまだいる。 独和辞典で Benzol の訳語に 「ベンゾール、ベンゼ...

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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