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翻訳資料として「有機化学命名法」を買う

今月は弟に仕送りをした後でも、いくらか余裕があるので、以前から揃えたかった資料を経費で購入した。

それは今年発売の、「有機化学命名法 IUPAC2013勧告および優先IUPAC名」(東京化学同人)である。

出版社の紹介サイトと内容説明は次の通り。
www.tkd-pbl.com/book/b284817.html

【IUPACによる有機化学命名法2013勧告を翻訳し,日本語に対応させた決定版.
本勧告の一番の特徴は優先IUPAC名が導入されたことである.
複数の命名が可能な場合に何を優先するか,という基準を明確にし,多くの例示により解説した.
研究室に必備の一冊.】

IUPACの有機化合物の命名法は、学術論文だけではなく特許でも、化合物を特定するために必要である。
ただし、規則に従って命名しても、複数の命名が可能である場合があった。
そのため、「優先IUPAC名」という概念が導入され、優先順位が厳格となり、どの命名を優先するのかが明確になった。

また、これまで利用されてきた慣用名の方が便利な場合もあり、それは「一般IUPAC名」として残った。
ただ、廃止された名称もあるので、この資料で確認しておかないと、規則違反の命名をするリスクがある。

これを翻訳業の経費で購入するのは、特許翻訳で使うことを想定しているからだ。
和訳をするときは、「日本語名称の作り方」を参照しながら、字訳してカタカナ表記するか、「硝酸」などの翻訳名を使うことになる。
IUPACの規則が変わったため、字訳の方法も一部変更され、これまでの名称と異なる場合もある。

医薬や色素などの特許でよく出てくるヘテロ環に thiazole があるが、これまでは 「チアゾール」 にしていた。
しかし、新しい規則では 「チアアゾール」 である。
ただし、一般名として 「チアゾール」 を使用してもよい。

特許の和訳で、クライアントが新しい規則での表記を求めるかどうか、今のところ不明だが、一般名として使用できるのであれば、これまで通りに慣れている 「チアゾール」 にしておきたいものだ。

また、すべての語間に、つなぎ符号 「=」 を入れる規則もある。
例えば、酸ハロゲン化物の benzoyl chloride は、ベンゾイルクロリドとなる。
アミンオキシドの N,N-dimethylmethanamine N-oxide は、-ジメチルメタンアミン-オキシド となる。

ただし、単純なエーテルなどで混乱しない場合は、つなぎ符号を入れなくてもよいこともある。

学術論文の和訳のときには、この資料を参考にして、特許の和訳はクライアントの指定を優先しよう。

毎日使うものではないが、化学者出身の翻訳者として、和訳名の選択の根拠を示すことができるようにしておきたい。

テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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