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独日翻訳のチェックを受注したところ、誤訳が多く、句点が1つもなかった

翻訳会社の社内翻訳者となって約半年だが、個人事業主としての翻訳も小規模で続けている。
月に2万円から4万円程度と少額ではあるが、辞書や翻訳関係の書籍を経費で購入するためにも続けている。

1年前に取引を始めた海外の翻訳会社は、機械系のドイツ語和訳が多く、最近はセンサーや印刷機などの取扱説明書の和訳が続いている。
この翻訳会社はヨーロッパにも支店があるためか、ドイツ語案件の問い合わせが毎月数件ある。
日本国内では、ドイツ語案件が受注できない時期が続くこともあるので、ドイツ語を忘れないためにも、短い案件でも受注している。

それでも無理はしたくないので、和訳を頼まれても、ワード数が多かったり、時間が足りないときは断っている。
すると、代わりの翻訳者が見つかった後に、チェックを頼まれることがある。

大抵は1時間から4時間くらいで終わる案件が多いので、平日の夕食後や週末に作業している。

今週も同様に、和訳を頼まれたのだが、忙しいので断った。
メールには、新規クライアントとの初めての仕事と書いてあったので、今後の契約にも影響するトライアル案件である。

他の翻訳者を探すことになったが、翌日、チェックを担当してほしいという連絡が来た。
和訳ができるのが金曜日昼で、締め切りは月曜日だから、週末にのんびり作業しても間に合うので受注した。

届いたファイルを Trados にインポートして開いてみると、原文にあるタグが、1つも和訳に反映されていない。
例えば、図面を示す abbildung や、数式を示す formel のタグを無視して、和訳は空欄のまま確定してあった。

他にも、記号や単位の上付き・下付きなどのタグもあるのに、すべてのタグを無視して、タグの間にあるドイツ語のみを和訳していた。

これでは困るので、翻訳会社の担当者にメールで問い合わせたのだが、欠如しているタグを、私が全部挿入することになってしまった。

ということで、作業を始めてみると、なんと句点が1つもない。
原文のピリオドが、タグの隣にあって、1つも見えなかったのだろうか。

加えて、読点がなくて読みにくい個所も多かった。

そして、誤訳が多かった。
多義語は、文脈に応じて、複数の意味を使い分けてほしい。

ある機械部品の工業規格の説明なのだが、その部品名や、測定される特性などの専門用語が間違っていた。
JIS規格にも同じ内容の規格があるので、少し調査すれば、その分野の文書が入手できて、専門用語を確認できるのに。

今回のクライアントとの取引が始まった場合、この翻訳者には依頼しない方がよいだろう。
500ワード程度なのに、ほとんどすべてのセグメントを修正して、3時間かかってしまった。
もし1万ワードの取扱説明書を和訳したら、チェックと修正だけで、どれくらいの日数がかかるのだろうか。

やはり、ドイツ語翻訳者は足りない。
人手不足への対策としても、機械翻訳の発展に期待したい。

テーマ : SOHO・在宅ワーク
ジャンル : ビジネス

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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