機械翻訳が発達しても翻訳者は失業しない

様々な技術革新によって、特に人手をかけていた仕事が減ったものの、別の新しい仕事が生まれてきた。
一時的に失業者は増えるが、職業教育訓練が適切に行われる仕組みがあれば、社会不安の増大はある程度に抑制されるだろう。

翻訳業でも、機械翻訳の発展によって、翻訳者が失業するのではないかと心配する人もいるようだが、働き方が変わるだけで、翻訳者が不要になることはありえない。

例えば、特許では、日本の特許庁に申請するために、大量の文書を和訳しなければならない。
翻訳支援のソフトを使ったとしても、人間が入力している限り、作業量には上限がある。
機械翻訳が発達すれば、寝ている間に翻訳してもらい、日中にポストエディットをして、生産性を大幅に向上させることができるだろう。

英語ですら、特許翻訳者を確保することが困難なのに、私がメインにしているドイツ語では、一緒に働いてくれそうな人材がなかなか見つからない。

そのため、外国語大学などの学生が、ドイツ語特許翻訳者になるのを待つよりは、精度が上がった機械翻訳のシステムを導入する方が、投資としては確実なのではないだろうか。

それでも、失業の不安がある人は、講談社のサイトにあるコラムを読んでほしい。

「急速に進化した機械翻訳」に、それでもできない3つのこと
gendai.ismedia.jp/articles/-/55237

グーグル翻訳が 「ディープラーニング」 を導入したことで精度が飛躍的に向上したと、最近話題になっていた。

以前のように、対訳をたくさん登録して、類似性から翻訳しているのではない。
大量の例文を読み込むことは必要だが、言葉がどういった組み合わせで使われているのか、というルールを自ら見出して、翻訳に応用する。

それでも、できないことがある。
特に指摘されているのが、小説などの細かいニュアンスの違いの解釈が必要な場合だ。

また、学習した結果が常に正しいとは限らない。
ドイツ語のように、職業名でも女性形があれば別だが、男性ばかりの職種だと学習してしまうと、女性職員の話なのに、男性と決めつけて翻訳する恐れがある。

つまり、機械は人間そのものを置き換えることはできないということだ。
比喩や裏の意味なども含めて、生活の実体験がないと理解できない語感をうまく翻訳に出すことに、人間は能力を傾注することになるだろう。

テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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