元素名は「シリコン」ではなく「ケイ素」と書いてほしい

翻訳専業となった私は、既に研究職ではないが、自然科学の様々な動向は、趣味と実益を兼ねてチェックしている。

最近は、SI単位系の定義の改訂にも興味がある。
そして今年2018年に注目されていることとは、質量の単位であるキログラムの定義の変更が予定されていることだ。

キログラムの定義の変更について、2015年のナショナルジオグラフィック日本版の記事は次の通り。
natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/a/072100020/

これまでは、国際キログラム原器で定義していたが、ある原子をアボガドロ定数個集めた質量に変えることになった。
そのためには、アボガドロ定数を正確に決定する必要がある。

日本の産業技術研究所で、その測定を達成したことの報告は次の通り。
www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2017/pr20171024/pr20171024.html

ドイツでも達成しており、ドイツ物理工学研究所(PTB)の研究紹介のサイトは次の通り。
www.ptb.de/cms/forschung-entwicklung/forschung-zum-neuen-si/ptb-experimente/kilogramm-und-mol-atome-zaehlen.html

そして今月は、この改訂について解説した講談社ブルーバックスの 「新しい1キログラムの測り方」(臼田孝著)を読んでいる。
gendai.ismedia.jp/list/books/bluebacks/9784065020562
gendai.ismedia.jp/articles/-/55228



今回取り上げるのは、アボガド定数の決定に使われた高純度ケイ素について、元素名なのに 「シリコン」 と書いていることだ。

第9章 「新しいキログラムへの道 - 動き出した国際プロジェクト」 を見ると、アボガドロ定数の決定に使用する理想的な材料としてケイ素が紹介されている。

元素名の和名は、日本化学会が決定しており、原子番号14の元素は 「ケイ素」 であって、シリコン」 ではない

「シリコン」 は、特に電子材料の分野で、高純度ケイ素を意味する業界用語であって、学術用語ではない。

「材料」 として説明しているため、「シリコン」 でもよいのではないか、または、研究者ではない一般人向けには、「シリコン」 の方がなじみがあるのではないか、などと言われそうだが、科学的に正確な記述を優先して、「ケイ素」 にしてほしかった。

例えば、171ページにある同位体についても、「シリコン28」 には違和感がある。

出版元の講談社への問い合わせは、メールフォームがなかったので、時間があるときに電話して聞いてみよう。

テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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