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【聖書でドイツ語】敵を愛しなさい: Von der Feindeliebe

イスラエル建国70年の今年2018年は、パレスチナ難民の苦難70年でもある。
アメリカ合衆国大使館がエルサレムに移転することとなり、神が望まない争いが起きている。
聖書の言葉を、自分たちの都合で恣意的に解釈した罪人たちが、平和を破壊している。

隣人を自分のように愛しなさい。迫害する敵をも愛しなさい」とイエスは教えられたが、自分勝手な人間たちは、神の御心など無視して、自分の思いを実現することばかりしてしまう。

罪人である人間であっても、悔い改めて、イエスが示した道に従おうと努力することが、平和の実現のために大切だ。

そんな日に読む聖書の個所として、マタイによる福音書5章44~45節を引用しよう。

その少し前の43節から、更に48節までをまとめて、見出しとして Von der Feindeliebe (敵を愛することについて)、新共同訳では、「敵を愛しなさい」 と書かれている。

なお、今回紹介する個所も含めて、ルター訳聖書では、有名な聖句の部分を太字で印刷している。

マタイによる福音書5章44~45節
44 .. Liebt eure Feinde und bittet für die, die euch verfolgen, 45 auf dass ihr Kinder seid eures Vaters im Himmel. Denn er lässt seine Sonne aufgehen über Böse und Gute und lässt regnen über Gerechte und Ungerechte.

(新共同訳)
44 .. 敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい
45 あなたがたの天の父の子となるためである。父は悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださるからである。

44節に示されたイエスの命令、「敵を愛せ、迫害する者のために祈れ」 の目的とは、次の45節の auf dass 以下に示されている。

auf dass .. は、「…するために」。
古風な表現で、今日では単なる dass .. または damit .. で表現される。

実際に、前回の1984年改訂版では、現代ドイツ語に書き換えているため、damit を使って以下のようになっていた。
damit ihr Kinder seid eures Vaters im Himmel.

その前の1912年改訂版では auf daß になっている。
auf daß ihr Kinder seid eures Vater im Himmel;

以下に示したルター訳1545年改訂版と比較するとわかるように、2017年改訂版は、綴りは現代の正書法ではあるものの、ルターオリジナルに回帰している。
Auff das jr Kinder seid ewrs Vaters im Himel /

現代ドイツ語で、通常の語順は、auf dass ihr Kinder eures Vaters im Himmel seid になるが、オリジナルを尊重して、2格名詞句 eures Vaters im Himmel が枠外配置されている。

このような枠外配置は、特に長い語句があって動詞と目的語が離れすぎるときに、現代ドイツ語でもよく行われる。

また、後半の Sonne 「太陽」 が、die Sonne ではなく、「seine Sonne」 であることに注目したい。
自然界に存在する天体の太陽ではなく、「神が創造した太陽」 という意識なのだ。


それで、最初に戻って、「敵を愛するためには、どのように祈ればよいのか」 という問題を考えよう。
どうしても実践できず、罪人であることを思い知らされるだけかもしれないが、それも悔い改めにつながるのであれば、無駄ではない。
そして、実際に、どのように祈るのか、私は場合は、「悪人がサタンの支配から逃れることができるように神の導きを祈る」 ようにしている。
私の力で他人を変えることはできないので、神が働くように、執り成しの祈りをするのだ。

44節に出てくる動詞 bitten からも考えてみよう。

bitten bei jm. für jn. の構文であるが、ここで祈る相手は神であることは明白なので、bei Gott は省略している。
すると、「自分を迫害する者に神のご加護があるように祈る」 や、「自分を迫害する者が正しい道に戻るように神に執り成しの祈りをする」 と解釈できるだろう。

神学的な解釈については、専門書を参考にしてほしい。
ドイツ語から考えるというこのブログ記事の方針から、私見を示したに過ぎない。

ドイツ語の勉強をしながら、敵を愛せないことを悔い改めるなんて、苦難が増大するだけかもしれないが、これが私の独自性・個性なので、一生続けていこう。

テーマ : 聖書・キリスト教
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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