光硬化樹脂の英訳のついでに可視光の範囲を確認した

約6年前から取引してる翻訳会社では、ここ1年間はほとんど、日英翻訳のチェックをしている。

ネイティブの英訳をチェックするわけだが、ネイティブであっても、自然科学系の専門知識のレベルには差があるのは当然だ。
英語が母語ではない日本人であっても、
化学者の私が見ることで、内容の解釈や学術用語の使い方などが正しいことを保証できる。

今月受注した日英チェックでは、光硬化樹脂に関連する英訳で、反応に使う光の波長が問題となった。
クライアントに問い合わせる時間的余裕がないため、私の判断で英訳を決めることになった。

高圧水銀ランプを光源として用いる場合、
従来の光硬化樹脂では、
紫外線領域の365 nmの輝線で反応を行っていた。
そして新たに開発された光硬化樹脂では、可視領域の405 nmの輝線で反応を行う。

従来の光硬化樹脂の反応機構を示す図では、「UV照射」と書いてあったためか、ネイティブ翻訳者は、新規光硬化樹脂を区別せずに、「光硬化樹脂」をすべて「UV-curing resin」と英訳していた。

しかし、新規光硬化樹脂は、可視光で反応するため、「light-curing resin」に修正した。

そのクライアントの技術レポートの英訳を連続して受注しており、別の発行号のレポートでは、紫外線で反応する樹脂は、「UV硬化樹脂」となっていた。
すると今回の「光硬化樹脂」は、可視光の領域または紫外線+可視光の領域の光で反応することを意味するのだろう。

訳者に修正を説明するために、JIS規格で可視光の定義を探してみた。
すると、次のリンクで明らかなように、「可視光は380~780nmとする」そうだ。
kikakurui.com/b7/B7079-2015-01.html

この定義を示して、従来の光硬化樹脂は紫外線で硬化し、新規光硬化樹脂は可視光で硬化することを説明した。

技術分野によっては、可視光の短波長側を400 nmとすることもあるが、今回の光硬化樹脂では、使用する輝線の波長は405 nmであり、可視光であることは明白だ。

ただし、使う光の波長が、例えば、390 nmの場合は、その分野が紫外線や可視光の範囲をどのように定義しているのかを確認すべきであろう。

細かいことを気にしすぎても翻訳の作業効率は上がらないが、内容にかかわる重要なことは、疑問を持って念のため確認するようにしたいものだ。

テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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