【聖書でドイツ語】 女性名詞 Nacht の副詞的2格形が男性名詞扱いとなる
【最終チェック・修正日 2018年08月22日】
ドイツ語の名詞には、3種類の文法上の性、男性・中性・女性がある。
名詞はすべて、その3つの性のどれかに分類されるわけだが、実際には「文法上の性の揺れ」というものがある。
例えば、「範囲」を意味する Bereich は、私は男性名詞と覚えているが、中性名詞で使われることもある。
そのため辞書の名詞の性の表記では、「男(中)」などと、主に男性名詞だが、中性名詞でも使うことがあると明記している。
また、der Golf 「湾」と das Golf 「ゴルフ」のように、同じ綴りでも、意味によって性が変わる名詞がある。
更に、der See 「湖」と die See 「海」のように、男性と女性の組み合わせもある。
加えて、Dschungel 「ジャングル」は、主に男性名詞だが、中性でも、女性でも使われるそうだ。
こんなことを書くと、ドイツ語を勉強する気がうせてしまうかもしれないが、今回は、それを超える例外を示そう。
女性名詞の Nacht 「夜」の2格形は der Nacht であるが、副詞的用法では男性名詞扱いをする場合があり des Nachts 「夜に」となる。
des Nachts の用例は、聖書では詩編22編にみられる。
詩編22編2~3節
2 Mein Gott, mein Gott, warum hast du mich verlassen?
Ich schreie, aber meine Hilfe ist ferne.
3 Mein Gott, des Tages rufe ich, doch antwortest du nicht,
und des Nachts, doch finde ich keine Ruhe.
2 わたしの神よ、わたしの神よ なぜわたしをお見捨てになるのか。
なぜわたしを遠く離れ、救おうとせず
呻きも言葉も聞いてくださらないのか。
3 わたしの神よ
昼は、呼び求めても答えてくださらない。
夜も、黙ることをお許しにならない。
別のドイツ語聖書として、Elberfelder では、bei Nacht になっている。
ドイツ語の名詞には、3種類の文法上の性、男性・中性・女性がある。
名詞はすべて、その3つの性のどれかに分類されるわけだが、実際には「文法上の性の揺れ」というものがある。
例えば、「範囲」を意味する Bereich は、私は男性名詞と覚えているが、中性名詞で使われることもある。
そのため辞書の名詞の性の表記では、「男(中)」などと、主に男性名詞だが、中性名詞でも使うことがあると明記している。
また、der Golf 「湾」と das Golf 「ゴルフ」のように、同じ綴りでも、意味によって性が変わる名詞がある。
更に、der See 「湖」と die See 「海」のように、男性と女性の組み合わせもある。
加えて、Dschungel 「ジャングル」は、主に男性名詞だが、中性でも、女性でも使われるそうだ。
こんなことを書くと、ドイツ語を勉強する気がうせてしまうかもしれないが、今回は、それを超える例外を示そう。
女性名詞の Nacht 「夜」の2格形は der Nacht であるが、副詞的用法では男性名詞扱いをする場合があり des Nachts 「夜に」となる。
des Nachts の用例は、聖書では詩編22編にみられる。
詩編22編2~3節
2 Mein Gott, mein Gott, warum hast du mich verlassen?
Ich schreie, aber meine Hilfe ist ferne.
3 Mein Gott, des Tages rufe ich, doch antwortest du nicht,
und des Nachts, doch finde ich keine Ruhe.
2 わたしの神よ、わたしの神よ なぜわたしをお見捨てになるのか。
なぜわたしを遠く離れ、救おうとせず
呻きも言葉も聞いてくださらないのか。
3 わたしの神よ
昼は、呼び求めても答えてくださらない。
夜も、黙ることをお許しにならない。
別のドイツ語聖書として、Elberfelder では、bei Nacht になっている。
追記(8月22日):
この Nacht の2格形が男性名詞扱いになる例について、DUDEN では、「文語・雅語」としている。
(gehoben) eines Nachts (in, während einer Nacht)
小学館独和大辞典第二版の説明は次の通り。
【副詞的に用いる2格形では、男性名詞扱いをする場合がある(→ nachts):eines Nachts ある夜〔のこと〕| des Nachts 夜〔間〕に | während des Nachts 夜の間に.】
大修館書店マイスター独和辞典の説明は次の通りで、詩編の例文にあるように、des Tages に合わせて des Nachts にしているということだ。
【eines Nachts ある夜のこと ((時を表す他の男性名詞との類比から))】
グリムを見ると、古高ドイツ語では naht の単数2格形として nahtes が挙げられており、時を表す男性名詞 tag の単数2格形 tages に類似した形態の nahtes にしたと解釈されている。
事例として、tages unde nahtes や ich sihe des nahtes krefte balde swachen が挙げられている。
この Nacht の2格形が男性名詞扱いになる例について、DUDEN では、「文語・雅語」としている。
(gehoben) eines Nachts (in, während einer Nacht)
小学館独和大辞典第二版の説明は次の通り。
【副詞的に用いる2格形では、男性名詞扱いをする場合がある(→ nachts):eines Nachts ある夜〔のこと〕| des Nachts 夜〔間〕に | während des Nachts 夜の間に.】
大修館書店マイスター独和辞典の説明は次の通りで、詩編の例文にあるように、des Tages に合わせて des Nachts にしているということだ。
【eines Nachts ある夜のこと ((時を表す他の男性名詞との類比から))】
グリムを見ると、古高ドイツ語では naht の単数2格形として nahtes が挙げられており、時を表す男性名詞 tag の単数2格形 tages に類似した形態の nahtes にしたと解釈されている。
事例として、tages unde nahtes や ich sihe des nahtes krefte balde swachen が挙げられている。