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【聖書でドイツ語】 文頭の「穴埋め」をする相関詞としての es

代名詞 es には、人称代名詞の他にいろいろな用法がある。

その1つに「後続の語句を先取りする相関詞 es」がある。
ここでは、名詞・代名詞を先取りして、文頭に「穴埋め」として置かれる例を紹介したい。

「改訂版 必携ドイツ文法総まとめ」、白水社、85ページから。
a) Es passierte heute Morgen ein schwerer Unfall. けさ大事故があった。
b) Es war niemand zu Haus. 誰も家にいなかった。

在間進、「改訂版 詳解ドイツ語文法」、大修館書店、207ページでは、もう少し詳しく解説している。

【文頭に置く適当な文肢(=テーマ)がない(たとえば新しい情報を担う主語を文中に置く)場合、定動詞(定形)第2位の原則を守るため、文頭に es を置くことがある。この es を「穴埋めの es」と呼ぶ。
 文頭に es を置いた文は、やや改まった調子になり、ある事柄を紹介的に報告する意味合いを持つ。】

① 出来事、存在などを表す自動詞文(動詞の形は文中の主語に呼応する)
c) Es kamen viele Gäste. 客がたくさん来た。(主語は viele Gäste であるため、動詞 kamen は3人称複数・過去)

この文頭の穴埋めの es の例文を、ルカによる福音書第18章9~14節 
ファリサイ派の人と徴税人のたとえ」 から引用しよう。
10節の冒頭にあり、文中の主語は茶色で示した。

人は誰でも、自分が一番正しいと思い込み、うぬぼれて他人を裁き、口汚く罵る、ファリサイ派のような存在だ。
隣人を愛することを忘れ、謙虚にもなれない者は、自分が罪人であることにも気づいていない。
最近のある国会議員の発言や、ネット上の書き込みなどでの暴言にも当てはまるだろう。
闇の力、サタンに支配されたこれらの人々が、悔い改めて、正しい光の道へと導かれますように。

ルカによる福音書第18章9~14節
9 Er sagte aber zu einigen, die überzeugt waren, fromm und gerecht zu sein, und verachteten die andern, dies Gleichnis:
10 Es gingen zwei Menschen hinauf in den Tempel, um zu beten, der eine ein Pharisäer, der andere ein Zöllner.
11 Der Pharisäer stand und betete bei sich selbst so: Ich danke dir, Gott, dass ich nicht bin wie die andern Leute, Räuber, Ungerechte, Ehebrecher, oder auch wie dieser Zöllner.
12 Ich faste zweimal in der Woche und gebe den Zehnten von allem, was ich einnehme.
13 Der Zöllner aber stand ferne, wollte auch die Augen nicht aufheben zum Himmel, sondern schlug an seine Brust und sprach: Gott, sei mir Sünder gnädig!
14 Ich sage euch: Dieser ging gerechtfertigt hinab in sein Haus, nicht jener. Denn wer sich selbst erhöht, der wird erniedrigt werden; und wer sich selbst erniedrigt, der wird erhöht werden.

9 自分は正しい人間だとうぬぼれて、他人を見下している人々に対しても、イエスは次のたとえを話された
10二人の人が祈るために神殿に上った。一人はファリサイ派の人で、もう一人は徴税人だった。
11 ファリサイ派の人は立って、心の中でこのように祈った。『神様、わたしはほかの人たちのように、奪い取る者、不正な者、姦通を犯す者でなく、また、この徴税人のような者でもないことを感謝します。
12 わたしは週に二度断食し、全収入の十分の一を献げています。』
13 ところが、徴税人は遠くに立って、目を天に上げようともせず、胸を打ちながら言った。『神様、罪人のわたしを憐れんでください。』
14 言っておくが、義とされて家に帰ったのは、この人であって、あのファリサイ派の人ではない。だれでも高ぶるものは低くされ、へりくだる者は高めれる。」

テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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