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別冊日経サイエンス「性とジェンダー」を読もう

「新潮45」という月刊誌が、杉田水脈議員の差別発言を擁護する特集で批判を浴びて、休刊してしまった。
杉田議員自身による補足説明や反論の場を設けることなく、このままうやむやになるのも困ったものだ。
自民党改憲草案との関連を指摘されてもいるので、杉田議員だけではなく、同様の意見を持つ自民党議員も、国家が望む国民の具体像について公の場で説明してほしい。

LGBTについての情報は様々あるが、専門家がどのように研究しているのかを知るために、別冊日経サイエンス228 「性とジェンダー 個と社会をめぐるサイエンス」を読んではどうだろうか。
www.nikkei-science.com/sci_book/bessatu/51228.html

ジェンダー(社会的性別)と性をテーマに,LGBTQ,教育と格差,研究者の男女格差,科学的な性差,ジェンダーをめぐる歴史および社会問題など,身近な出来事から研究の最前線までを扱う。さらにジェンダー問題とかかわりの深い,人材育成,貧困,集団における固定観念なども取り上げる。近年注目されるジェンダー教育のテキストとして,高校や大学の授業にも役立つ内容。

これまでに日経サイエンスに掲載された記事をまとめた別冊で、8月23日に発売されていた。
私も読んでいなかったので、紀伊国屋書店に注文した。

10月も教会の行事があって忙しいが、次の2つの記事に注目したい。
「新潮45」で杉田議員を擁護した人たちにも読んでほしい。

・性はXとYだけでは決まらない
www.nikkei-science.com/201712_070.html
【生物学的性別の決定は,単に解剖学的特徴だけでなく,時を追って展開する遺伝的因子と化学的因子の込み入った振る舞いが関わる驚くほど複雑な過程だ。通常とは異なる性的発達をたどるインターセックスの人は,5アルファ還元酵素欠損症など様々な性分化疾患によって特徴づけられる。さらに複雑なことに,本人が自認するジェンダーが出生時に割り当てられた生物学的性別と一致するとは限らないうえ,全面的に男性あるいは女性というわけではない場合もある。】

・トランスジェンダーの子どもたち
www.nikkei-science.com/201712_064.html
【北米のトランスジェンダーとジェンダー不適合の子ども合わせて300人以上を20年間追跡する調査研究「トランス・ユース・プロジェクト」が進んでいる。彼らの性同一性がどのように発達するのかを知るのが目的だ。これまでの結果によると,トランスジェンダーの子はそうではない子と同じく,ごく幼いときから自分のジェンダーを明確にしっかりと認識している。また,異性に関連づけられているおもちゃや服を単に好む子どもたちとは,性同一性の発達の軌跡が異なる。】

性同一性について私が興味を持っているのは、杉田議員に反論するためではなく、男女別のスポーツ競技での性別の判定が困難な事例を知っているからである。
これは砲丸投げ・円盤投げの選手であった母の体験である。

ある地方大会で母が準優勝したとき、表彰式で隣の優勝選手の顔を見ると、髭が生えていて不思議に思ったそうだ。
声も女性にしては低すぎるし、投げる距離が女子とは思えないほどであったため、男子選手が女装していたのではないかと疑ったそうだが、体毛が濃い女性もいるわけだし、そのときは確認できずにいた。

しかし、母よりも遠くに投げる選手だったのに、その後は全国大会も含めて、再会することはなかったので、女子選手として登録できなくなった事情が生じたのかもしれない。
今となっては確認できないが、最近も陸上選手で性別問題が生じたように、生殖器は女性に見えるが、筋力や骨格などは男性の要素がある、両性具有だったのかもしれない。

杉田議員やその擁護者たちが、日経サイエンスのような科学記事を読むとは思えないが、性別も含めて、生物の多様性は、人間の先入観を打ち砕くほど複雑なものと知ってほしい。

また、私は、現在は翻訳者であるが、教会では科学者として意見を求められることもあるので、LGBTも含めて科学的に公平な意見を伝えるためにも、常に勉強していなければならない。

教会では、LGBT支援の集会に参加している人もいれば、聖書のみを信じる人の中には同性愛を否定する人もいる。
ドイツのプロテスタント教会では、同性婚の結婚式を許可しているところだけではなく、牧師・副牧師が同性婚カップルという教会もある。

しかし、差別と闘うキリスト者であっても、LGBT支援で一致団結しているわけではない。
そのような状況の中で、同性婚の結婚式を認めないとしても、性別やジェンダーについて、最新の研究成果に基づく正しい知識を持ってもらうために、まずは私がいろいろと勉強をしておきたい。

テーマ : 科学・医療・心理
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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