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消費税増税の機会に翻訳料金を外税方式にしてはどうだろうか

2019年10月1日から消費税が10%に増税され、更に8%の軽減税率の制度も始まる。
テレビの情報番組などでも取り上げているように、飲食料品は全部8%にした方が楽なのだが、税理士などの仕事を増やしたいのだろうか。

今年7月に税務署から 「よくわかる消費税低減税率制度」 というパンフレットが届いた。
私は翻訳業であり、軽減税率は関係ないが、飲食業の人たちはレジの更新など大変なことだろう。

翻訳業として関係するのは、消費税が増税されると、これまで内税方式・税込み総額と言われていた翻訳料金が上がるかどうかだ。

翻訳会社がクライアントからもらう料金にも、翻訳会社が翻訳者に支払う料金にも、消費税が加えられている。
その料金には、店舗で販売されている商品と同様に、税込みと税抜きの両方の可能性がある。

私がこれまで取引している翻訳会社のうち、1社のみが外税方式で消費税を計算している。

例えば、翻訳料金が10,000円のとき、消費税8%の800円が加算され、そして 10.21% の源泉所得税・復興特別所得税は翻訳料金のみにかかり、1,021円が引かれて、9,779円が振り込まれる。

課税売上高が1,000万円を超えることはない免税事業者であるため、受け取った消費税を納付する義務はないから、消費税の分だけ収入が増える。

税込みの場合、その料金には消費税が含まれているが、その税込み総額に対して 10.21% の源泉所得税・復興特別所得税がかかるため、外税方式で計算する場合よりも所得税を多く払うことになる。

消費税が8%から10%に上がったとき、外税方式ならば分けて計算するので明確だが、内税方式の場合には、税率上昇分を反映した料金になるはずである。

例えば、現在のワード単価10円が税込み料金ならば、単価9.26円に消費税0.74円を加えていると考える。
すると、10%に増税後の消費税分は0.926円であり、改定後のワード単価は10.186円になる。
細かいと計算が面倒なので、10.2円にするのだろうか。

もし増税後もワード単価が10円のままだと、単価9.09円+0.91円となり、単価を下げていることになる。
もらう金額は変わらないかもしれないが、増税分を払わないというのは、消費税制度の運用上、買いたたきの問題となる。

今回の増税でも有効な 「消費税転嫁対策特別措置法」 について、翻訳者側も勉強した方がよいと思う。
www.cao.go.jp/tenkataisaku/pdf/sotigaiyou.pdf
www.jtf.jp/pdf/METI_information201808.pdf

例えば、今年6月と10月に公開された勧告に関する資料も参考になるだろう。
www.jftc.go.jp/tenkataisaku/hijyoukin_files/180621_files_02.pdf
www.jftc.go.jp/tenkataisaku/index_files/1810torikumi.pdf

翻訳・通訳関係だけではなく、原稿料やデザイン料などをもらう人も含めて、業界団体がまとまって、全部外税方式の計算に統一して、消費税の支払いを明確化してはどうだろうか。

テーマ : 税金
ジャンル : ファイナンス

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Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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