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ワシントンDC聖書博物館の死海文書断片はニセモノ

神学者や聖書研究者にとって、死海文書は最重要な考古学的資料の1つだろう。
イスラエルの博物館で保管されて、聖書の成立過程などの研究に利用されている。

ただし、ユネスコが文化財の不法な輸出入を禁止する前に、その一部はコレクターなどの手に渡った。
アメリカ・ワシントンDCにある聖書博物館は、そのうち16の断片を購入して展示していたが、ニセモノの疑いがあった。

そこで博物館は、5つの断片についてドイツ連邦材料試験研究所(BAM)に依頼した。
すると、ニセモノであることが判明してしまい、10月22日に展示を中止したことを発表した。

聖書博物館のプレスリリースは次のリンク。
www.museumofthebible.org/press/press-releases/museum-of-the-bible-releases-research-findings-on-fragments-in-its-dead-sea-scrolls-collection

このニュースを伝えるナショナルジオグラフィック日本版の記事のリンクは次のとおり。
natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/b/112100129/

BAMの発表はなかったので、代わりに Spiegel の記事のリンクは次のとおり。
www.spiegel.de/wissenschaft/mensch/washington-bibel-museum-stellte-gefaelschte-schriftrollen-aus-a-1234610.html

走査型X線蛍光顕微鏡法などの非破壊検査で、インクの特性を調査しているので、実際に書かれた時期を推定できる。
すると、最近作られたニセモノであることが判明した。

科学を信用するという前提だが、古い羊皮紙やパピルスが入手できても、インクの成分が最近のものだったり、汚すためにつけた土などが、死海付近の土壌とは異なる元素比率を有していれば、ニセモノと判定できるわけだ。

聖書博物館を建てたのだから、レプリカではなく本物の死海文書を展示したいと思うのは当然かもしれない。
ただ、そのような人間の欲望を利用して金儲けを考える人たちがいる。

本物の死海文書を展示して観光客を集めるよりも、聖書に書かれた神のメッセージを正しく伝えることに力を注ぎたいものだ。

テーマ : 聖書・キリスト教
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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