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「抉り」は「えぐり」それとも「こじり」

私はドイツ語翻訳者でありたいと願っているが、実際の仕事の割合は、英日が8割、独日が2割である。
チェックであれば、日英・日独・英独・独英を担当することもある。

ネイティブの日英・日独翻訳のチェックを担当するのは、専門知識の他に、日本語の解釈が正しいかどうかを確認するためだ。
どのような文書でも、著者が想定している読者は、その文書に用いた言語を理解する人たちだ。
そのため、外国語に翻訳されることを意識して書くことは少ない。

厳密な表現が求められる特許でも、日本語明細書では、主語がない文に出会うことがある。
文脈から、1つ前の文で説明していたことを受けていることが推測できるときは、主語を補足して翻訳することもある。

他に面倒なのは、その技術分野特有の用語の解釈に加えて、漢字の読みの問題だ。

最近、「抉り」について迷った。
ドイツ語ネイティブ翻訳者は、「えぐり」と読み、その部品が回転するときに接触した部分を削り取ってくぼみを作る、と解釈した。

チェック時にいろいろと調べてみると、その部品の回転時の動きから、「こじり」ではないかと思った。

1つ前の文の説明では、部品の軸(シャフト)の部分に対して力がかかると、あるべき回転軸線に対して斜めに傾いて回転してしまい、そして回転時に周辺に接触してしまうそうだ。

「こじり」の読みで合っているとしたが、そのまま載っている辞書がないため、対応するドイツ語を考えて提案した。

このように翻訳の現場では、単語1つに1時間以上かかることもあるが、新しい知識が得られることが楽しみの一つだ。

ところで、動詞の「こじる」で検索したら、「こじるり」の方がヒット数が多かった。

テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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