FC2ブログ

ドイツ語翻訳では冠飾句を正しく把握しよう

ドイツ語翻訳をしていると、特に学術論文や新聞記事などで、冠飾句を目にすることが多い。

冠飾句は、冠詞と名詞との間に置かれた長い形容詞句である。
関係節で書き換えることもできるが、冠飾句から順に訳すと日本語の語順に近くなることが多いので、理解しやすいのではないだろうか。

原稿を紙に印刷してから翻訳していたときは、冠飾句の部分を( )でくくっていた。
長い冠飾句のときに間違えることがなくなるし、推敲時に見直すときにも楽になる。

しかし最近は、CATツールを使ってPC画面上で原文を読むことが多いからなのか、うっかりして冠飾句を見逃してしまう人もいるようだ。

今月チェックしたドイツ語和訳案件の例を示しておこう。

ある工作機械の製品紹介パンフレットに掲載された写真は、アップグレードした製品の前に開発担当者が立っているものだった。
その説明のところに、次のように書いてあった(冠飾句部分を青にした)。

vor dem zur 4-Achsen-Bearbeitung aufgerüsteten 3-Achsen-CNC-Bearbeitungszentrum.

翻訳者の和訳は、「3軸CNCマシニングセンタを4
軸加工用にアップグレードする前」。
修正例は、「4軸加工用にアップグレードされた3軸CNCマシニングセンタの前で」。

写真を見れば、機械の前に開発者が立っているのだから、その状況からも翻訳者は間違いに気づいてほしかった。

もしかすると、冠飾句を把握する前に、前置詞 vor が「時間的に前」だと誤解してしまったのが、誤訳の原因なのかもしれない。
「アップグレードする前(vor dem Aufrüsten)」という先入観から逃れることができず、無理に意訳したようになったと思われる。

冠飾句を除いて書くと、vor dem 3-Achsen-CNC-Bearbeitungszentrum であり、これならば前置詞 vor が「空間的に前」を表すことは明白だろう。

私も完璧ではないので、いろいろな事例から学習を一生継続することになるだろう。


翻訳作業とは別に、化学または広く科学関連のドイツ語記事を読んで、様々な文法項目について、例文を記録して将来に役立てたい。今回は 「冠飾句」 をとり上げる。...
ドイツ語:冠飾句という独特の修飾形式


テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

FC2カウンター
カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR