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原文の意味がわからないという翻訳者コメント

翻訳では、当然ながら、様々な資料を参考にして作業を進める。
私が専門の化学では、専門書や辞書をある程度揃えているが、他分野の翻訳ではネット検索に頼ることも多い。

辞書に載っていない単語に遭遇することも、翻訳者の日常である。
日本語での説明が見つからなくても、英語やドイツ語の説明を読んで、日本語訳をひねり出すのも仕事だ。

チェッカーとしての仕事をしていると時々、翻訳者から、時間切れだったためなのか、「適切な訳語が見つからなかった」や、「意味が理解できなかった」というコメントを受け取ることもある。

また、日英ネイティブ翻訳でも、原文日本語が理解しにくい場合があるので、日本人の私がチェックする必要がある。

今回の日英チェック案件では、ある測定器の使用方法の説明で、カタカナ用語が理解できなかったそうだ。

今回はあえて具体的に示すが、「プレシェアーを加えて…」という操作だ。
このカタカナ用語の「プレシェアー」が理解できないということで、英訳は "Apply pressure .." となっていた。

「プレッシャー(圧力)」ではないことは翻訳者もわかっているはずだが、何かの単語を入れないと納品できないから、無理やり pressure にしたのかもしれない。

前後の説明を読むと、「せん断(shear)」が出てくるので、「プレシェアー」は、preshear ではないかと推測した。
英語の発音により近くなるように、「プレシーア」と書いてあれば、翻訳者も推測できたかもしれない。

ということで、その測定器の英語名と preshear の両方を組み合わせて検索すると、測定方法の実演動画が出てきた。
測定器の操作方法だけを検索しても見つかったと思う。

時間が足りなかったのかもしれないが、必死に検索すれば解決したかもしれない。
調査時間が長すぎると、翻訳料金を時給換算したときに最低賃金を下回ることもあるが、信頼を得るためにも努力してほしかった。

また、これは日本語原文が翻訳されることを意識せずに書いていることも問題なのだが、技術英語としてはふさわしくない表現もみられた。

これからも化学者として、ネイティブ翻訳のチェックを続けていこう。

テーマ : SOHO・在宅ワーク
ジャンル : ビジネス

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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