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間違っているのは化合物名なのか構造式なのか

特許翻訳をしていると、ほぼ毎回、原文誤記に出会う。
単なるスペルミスの場合もあるが、それが実在する単語になっていると、誤記のまま翻訳することになる。
そして翻訳メモをクライアントに送付して、対応してもらうことになる。

今回取り上げる誤記では、化合物の構造式が間違っているのか、それとも化合物名が間違っているのか、判断に迷った。

その特許を具体的に示すことはできないが、世界的に有名なドイツ企業が出願した化学系の特許だ。

明細書と請求項に、窒素ヘテロ環の 1,3,5-トリアジン(独 1,3,5-Triazin)の誘導体の構造式が記載されていた。
トリアジンは、下図に示したように六員環である。

しかし、本文に記載された化合物名は、五員環のトリアゾール(独 Triazol)であった。
下図には、異性体の1つ 1,2,4-Triazol を示した。




この場合、化合物名が間違っているのか、それとも構造式が間違っているのか、翻訳者に判断できるだろうか。
私は化学で博士号を持っている翻訳者であるが、すべての研究分野を熟知しているわけではない。

ということで、この分野の研究について調べてみると、トリアジンを利用した研究がたくさん見つかった。
特許だから、今まで利用していなかったトリアゾールを使っているとも考えられるだろう。
しかしこの特許は、化合物特許ではなく、利用方法の特許なので、既存の化合物であるトリアジンを使っていると判断した。

最終的にはクライアントが判断するわけだが、とりあえず原文ママで「トリアゾール」と和訳して、誤記の可能性に気づいたということを、翻訳メモに記載して提出することにした。

理系人材が翻訳業界に参入する利点の説明に使えるだろうか。

テーマ : SOHO・在宅ワーク
ジャンル : ビジネス

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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