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機械翻訳をどのように利用するかを議論したい

昨日24日に、日経電子版に【AI翻訳「人間超え」へ 技術が急発展】という記事が出て、翻訳関係者が様々な反応を示している。
www.nikkei.com/article/DGXMZO49000580W9A820C1000000/

続いて本日25日には、自動翻訳の記事の抜粋が掲載された。
www.nikkei.com/article/DGXMZO4900070026082019000000/

いずれも日経エレクトロニクス9月号に掲載された記事で、1か月前に発行されていた。
再構成された記事が無料で日経電子版に掲載されて、多くの人の目にとまったことで、この2日間でツイッターも含めて多様な反応が見られた。

元の記事は2部に分かれていて、記事ごとにPDF版を購入してダウンロードできる。
本日はまだ消費税8%なので、1本432円だ。
話題になっているので、日経BPのサイトから2本とも購入して読んだ。

他の人たちが指摘しているように、機械翻訳推進側に偏った内容であることは否定できない。
技術の進歩を紹介することが主目的なのだが、AI翻訳が発展したとしても、原理的に実現できないと指摘されていることにも触れてほしかった。

機械翻訳では、文脈を無視していることに加えて、人間が持つ常識や暗黙の了解、感情や文化的背景を反映しないので、ありえない翻訳結果を出力することがある。

そのような特徴があるためか、ネット上には、機械翻訳を利用したと思われる誤訳例が披露されていて、機械翻訳否定派は、このような致命的な誤訳をネタにして、機械翻訳が使えないと、ことさらに強調しているようだ。

例えば、「お子様は食べないように」を Google 翻訳で英訳すると、Do not eat children. と、人間の常識ではありえないものになる。

この常識外れの誤訳というのが、人間による誤訳とは異なるパターンの誤訳の発生であり、これが特徴でもある。

文脈に応じた単語の使い方を学習するBERTが出現したものの、人間の常識を学習させるために、「〇〇は食べ物ではない」または「××は食べ物である」という情報をすべて学習させることは現実的ではない。

そのため、この特徴を知ったうえでポストエディットができる、新しい翻訳人材(ポストエディター)の育成が必要になる。
私が関わる特許翻訳では、人材不足ということもあり、機械翻訳を利用しなければ大量の業務をさばききれない。
ドイツ語翻訳では、もともと人が少ないし、その中から理系知識が必要な特許翻訳をやろうという人は、さらに少なくなる。

ポストエディターも含めた翻訳人材の育成は、特にEUの大学で専門的に行われているが、日本の大学ではほとんど見られない。
関西大学の山田優教授は、数年前からポストエディターの育成の研究をしているが、なかなか広がらない。

山田教授は、京都で行われるTCシンポジウムで、ポストエディターの育成について講演する。
「ポストエディターの素養と涵養〜~国際標準のポストエディットを目指して~」

山田教授のブログ記事を参照してほしい。
ameblo.jp/chuckmy/entry-12528539285.html

私はこのシンポジウムに参加しないので、参加した人から情報をもらおうと思う。
また、機械翻訳を利用する翻訳会社で山田教授と連携して、社内翻訳者やフリーランス翻訳者の研修も行いたいものだ。

語学の勉強が不要になるとか、翻訳単価が劇的に削減できるなどの、極端な意見ばかりに注目しないでほしいものだ。

機械翻訳の導入に賛成かどうかではなく、どのように利用すれば、業務の効率化に貢献できるのかを議論したい。

テーマ : SOHO・在宅ワーク
ジャンル : ビジネス

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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