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「英語しかできない人のリスク」(AI時代の英語学習、ニューズウィーク日本版3月3日号)

ニューズウィーク日本版3月3日号の特集は、「AI時代の英語学習」。
www.newsweekjapan.jp/magazine/264408.php

機械翻訳・自動翻訳には、賛否両論があり、最近も新型コロナウイルス関係で厚生労働省の英訳が使えないということが話題になっている。
使えるかどうか、仕事の効率を上げるために何に注意すべきか、などの議論は、既に各方面で行われているので、今回は取り上げない。

今回の特集記事で興味を持ったのは、23ページ後半、英語しかできない人のリスクにある以下の個所だ。

【AI翻訳の普及は、さまざまな言語で直接コミュニケーションが取れる時代の幕開けを意味する。共通語としての英語の地位は当分揺るがないだろうが、第2、第3外国語についても、機械翻訳を利用できる程度の基礎知識を持つのが当たり前になる日が来るかもしれない。】

私は大学で研究しているときから、「化学者は英語以外の外国語論文を、最低でも1言語、できれば2言語で読めた方がよい」と主張していた。

実際に、私の研究分野では読むべき論文数のうち3割くらいがドイツ語論文であったので、第2外国語として、ドイツ語知識は必須だった。
そのため、最新論文を紹介する研究室セミナーでは、年に最低1回は、ドイツ語論文を取り上げた。

しかし、「今は英語だけできればよい。英語が完璧でもないのに、他の外国語を勉強する暇はない」などと反論されることが多かった。
完璧とはどういうレベルの話なのかわからないが、自分の研究のためならば、英語以外の論文も読めた方がよいはずだ。

「ドイツ語論文を読めた方が情報が増えて有利だ」と説明しても、「ドイツ語は英語に似ている。辞書を見れば推測可能だ」という、とんでもない反論まであった。

まあ、化学論文の実験の部であれば、実際の実験操作を経験していると、単語ごとに辞書で調べて逐語訳をしても、単語をいろいろと並べ替えてみて、内容を推測することはできるかもしれない。

しかし、ドイツ語原文では、「試薬を2時間かけて加えた後という意味なのに、「試薬を加えてから2時間後と勘違いしていた人もいた。

研究が忙しくて英語以外は勉強する暇がないという人は、今後は辞書を調べずにAI翻訳で英訳して、論文の内容を把握することになるだろう。
ここで和訳ではなくて英訳を選択するのは、英訳の方が精度が高いと言われているからである。

この時必要となる能力とは、AIによる英訳をそのまま信じることなく、そして疑問点が生じたときに、原文で確認できる能力である。
上記のドイツ語論文の例でも、重要な実験条件の部分だけでも、英訳が誤訳なのかどうかを確認できた方がよい。

専門分野の知識の他に英語力があったとしても、間違った英訳ののままで自分の研究に利用すると、失敗することになるだろう。
失敗の原因としてAIによる英訳を疑っても、確認するために、原文のドイツ語などを読む基礎文法知識が必要になる。

科学者に必要なドイツ語知識とは、ある程度限定でき、決してゲーテを読んだり、ルター聖書を理解するためのものではない。
それを示すためというわけではないが、このブログでは、「科学ドイツ語」のコーナーを新設して、ドイツ語論文を読むための基礎文法を解説することにした。

「では、お前は第3外国語を勉強しているのか」と言われそうだ。

大学で研究しているときは、第3外国語としてフランス語を想定していた。
これまで、フランス語論文の実験の部を読むことが2回あったが、短くて簡単な実験操作だったので、辞書と基本文法テキストを参照すれば、特に困難はなかった。

ほとんど経験していないものの、物理や原子力などで、フランス語が必要な分野を扱うことになったら、きちんと勉強するかもしれない。

高校2年以降、これまでに、中国語、スペイン語、ノルウェー語(ブークモール)、アイスランド語の順にかじってきた。
また、研究資料を読むためにオランダ語の参考書を買い、グリーンランドの情報を調べるためにデンマーク語の参考書も購入した。

現在は、仕事で英語とドイツ語を使っているが、もし第3外国語を選べと言われたら、マイナーだがノルウェー語を選ぶだろう。

水産業だけではなく、環境問題についても、ノルウェーに注目しているからだ。
仕事で使えるレベルに到達する日がいつになるのかわからないが、ノルウェー語の科学記事のAI翻訳も利用しながら、語学は一生続けるだろう。

テーマ : SOHO・在宅ワーク
ジャンル : ビジネス

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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