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ブラックホールの影を撮影したのに予算削減

世の中は新型コロナウイルスCOVID-19の話ばかりだが、天文学の世界では3月下旬から、国立天文台の予算削減の話が注目されている。

野辺山の太陽観測用電波望遠鏡ヘリオグラフの運用停止に続いて、水沢観測所が関与するVERAプロジェクトが、プロジェクト期間中なのに、今年6月で前倒し終了となった。

水沢観測所のツイートは以下の通り。

ここで取り上げられている、VERAプロジェクトのサイトは次のリンクから。
www.miz.nao.ac.jp/veraserver/outline/index.html

ところが、4月4日の岩手日報の記事では、今年度は予算が追加されて観測が継続できそうだ。
それでも、職員の退職もあるので、来年はどうなるのかわからない。
www.miz.nao.ac.jp/veraserver/outline/index.html

【奥州市の国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹(まれき)所長)の2020年度予算が半減され、主力事業の観測が約2年前倒しで6月終了する問題で、同天文台が予算を追加し、年度内の観測を続ける方向で調整していることが3日、同天文台への取材で分かった。21年度以降の観測継続が不透明な状況は変わらず、関係者は依然として危惧している。

 同天文台の渡部潤一副台長は取材に対し、「われわれも年度途中でプロジェクトを終わらせたくはない。示したのは当初予算で、あくまで最小値。補正分を5月中には決めたい」と年度内の継続に向け調整していることを明らかにした。水沢観測所については「非常に大事な場所。なくすことは考えていない」とも強調した。】

日本の電波天文学は世界をリードしているのに、重要な研究成果も挙げているのに、不可解な理由で削減されてしまった。
論文数が足りないとも言われているが、ブラックホールの影の撮影だけではなく、星間分子を次々に検出していて、化学者の私も注目していた。

週刊誌FRIDAY4月17日号の記事では、国立天文台内部の対立が原因のようだ。
ブラックホールの影の撮影の発表で世界的な注目を浴びた本間教授が、目立ちすぎたのが面白くなかったそうだ。
大学でも研究所でも、主流派と呼ばれるグループが存在していて、いろいろと不公平な人事が行われることもある。

まあ、研究者といえども人間なので、感情的になることはある。
しかし、この決定の影響は日本だけではなく、共同研究をしているアジア各国、そして世界の電波天文学にも波及する。
こんなことでは、日本は学問ができない信用できない国とされて、国際プロジェクトに参加できなくなるだろう。

孤立すれば、ますます論文は出なくなり、世界の第一線を歩んできた歴史を汚してしまう。
そしてさらに予算は削減されて、天文台自体が消えてしまうかもしれない。
そんな覚悟が、国立天文台執行部にはあるのだろうか。

私は数年前、ハワイすばる望遠鏡のために1万円を寄付したことがある。
そのとき寄付した天文学振興募金のサイトは、次のリンクから。
www.nao.ac.jp/bokin/index.html

私が寄付できる金額は少額だが、全国から集まれば、半年だけでも観測期間を延ばすことができるかもしれない。

新型コロナウイルスCOVID-19対策にお金が必要なときに、学問をする余裕はないと言われそうだが、こんなときだからこそ、文化としての学問・芸術の火を絶やしてはいけない。

テーマ : 研究者の生活
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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