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「メディカル関連特許の特殊性」(化学2020年6月号)

先週注文した書籍と一緒に、化学同人の雑誌「化学」2020年6月号が本日昼前に届いた。
小惑星イトカワ、グラフェン、特許の記事を読むために購入した。

ところが一番驚いたのは、最新のトピックスに、私が大学院時代に関わった化合物が出ていたことだ。
その論文を書いた教授も知っているので、22年ぶりになるがメールを書いてみようと思った。

それで特許の記事は、
中務先生のやさしいカガク特許講座 第17回 メディカル関連特許の特殊性で、医療行為が特許侵害にならないというものだ。

今回取り上げられた特許法の条文は次の通り。
・第29条第1項(特許の要件)
・第69条第3項(特許権の効力が及ばない範囲)
・第93条(公共の利益のための通常実施権の設定の裁定)

私は化学は専門だが、特許法はほとんど知らないので、このような基本的な解説はうれしい。
特許翻訳では、権利範囲が変わらないように気を付けるが、その他にも知っていた方がよいことがあるはずだ。

日本やヨーロッパでは、「人間を手術、治療又は診断する方法」は特許されないが、アメリカでは特許されるという。

方法では特許されなくても、物であれば、例えば、「~を治療するための医薬組成物」ならば特許される。
使用方法も含めて特許請求項を書けば、実質的に「~を治療するための方法」の権利を保護できる。

ただ、PC
出願の特許翻訳では原文ママに和訳するので、「Method for treating ...」であれば、「~を治療するための方法」で納品している。
外国語特許ならばよいのかどうか、それは書いていないが、受理されているということは大丈夫なのだろう。

特許法第69条第3項では、特許権の効力が及ばない範囲が規定されている。
医師の処方箋に従って、2種類以上の薬を薬剤師が混ぜても特許権侵害にはならない。
患者を前にした医療行為は、特許権に縛られることなく自由なのだ。

ところが、企業が研究目的ではなく、混合した医薬を製造すると特許権侵害になってしまう。

現実の問題を1つの条文だけで扱うことができないので、継ぎはぎかもしれないが、複数の条文で対応するそうだ。

また、コラムでは、「強制実施権」について説明している。
COVID-19 の治療薬やワクチンが開発されれば各国で設定されるかもしれない。

弁理士を目指さなくても、翻訳の合間に特許法を勉強して、意識しながら和訳したいものだ。

テーマ : 科学・医療・心理
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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