fc2ブログ

翻訳案件でインサイダー情報に触れるから機械メーカーの株は買えない

老後のために資産形成をしようと勧められている。
株式投資もその1つだが、翻訳の仕事で企業のインサイダー情報に触れる場合もあるので、投資対象は限られる。

私は英日・独日翻訳者として、主に化学、バイオ、医薬、機械、自動車の分野を受注している。
そのため、製造業の株を買うことはない。
代わりに、絶対に受注しないであろう業種の株や投資信託に投資している。

インサイダー情報に触れる場合というのは、出願前の特許だったり、新製品や決算などのプレスリリース、ビジネスレターということがある。

今月受注したのは、ドイツメーカーが日本メーカーに送ったビジネスレターだ。
会社名も内容も推測できないように、漠然とした表現で紹介しよう。

日本メーカーが開発中の省エネを実現する機器について、ドイツメーカーが導入を決めていた。
しかし、開発が遅れているために、納入時期も1年以上遅れることになり、違約金が発生することになった。

日本メーカーは、当初約束した省エネ効率が完全に達成できてから納入すると言っているが、それではもっと遅れるかもしれない。
違約金が発生して直接困るのは日本メーカーだが、導入予定のドイツメーカーも予定が狂って困っている。

省エネを実現するということで、例えば、二酸化炭素排出量が削減できると既に宣言していた場合、投資家や環境保護団体などから計画の延期を非難されてしまう。

ということで新しい提案をしている。
開発を継続しながらも、納入期限までに達成できた性能でとりあえず納入し、省エネ効率の低下1%ごとの違約金を設定するものだ。

開発は継続するので、納入期間の後半になれば、目標効率を達成した機器を納入できるかもしれない。
そうすれば違約金の総額は減ることになり、ある程度の省エネも達成できるので、両者にとって合意可能と思われる。

計画の遅延については、決算書などの適時開示情報に掲載されていると思われるが、今回の新提案のやり取りのように未決定事項は含まれない。

このインサイダー情報が株価に大きく影響するのかどうかはわからないが、この情報を秘密裏に利用しようと考えることなく、誤訳せずに真意が伝わる和訳を作ることに専念しよう。


会社員として入社する場合も、フリーランスとして契約するときも、仕事を始める前に、秘密保持契約書に署名・捺印することが当たり前になった。以前勤務していた製薬会社では、年に1回以上、コンプライアンス研修を行っていた。それでも、セクハラやパワハラだけではなく、経費の不正請求や、品質保証データの改ざんなど、様々な事件が起きた。フリーランス翻訳者の場合、セミナーなどを除けば、会社組織が提供するようなコンプラ...
翻訳者がインサイダー情報に触れるとき

テーマ : SOHO・在宅ワーク
ジャンル : ビジネス

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

FC2カウンター
カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR