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元の原稿にある写真を確認しながら翻訳しよう

翻訳という仕事は、決して趣味の延長で行っているのではない。
確かに、翻訳していて楽しい案件もあるが、誤訳していないかといつも不安になるので、ストレスが溜まる仕事だ。

翻訳作業だけでも疲れるのに、CATツールのファイルだけ渡されて、元の原稿がもらえないときは余計ストレスが溜まる。

機械の取扱説明書だと、操作パネルの写真や装置の分解図を実際に見ないと理解できないことも多いのに、なぜかクライアントから提示されないこともある。

文字情報のみから想像しながら翻訳したり、同じメーカーの類似品を検索して参考にすることある。
そのような苦労をしているので、元の原稿が添付されている案件では、いくらかストレスが緩和される。

せっかく元の原稿があるのに、確認せずに翻訳している人もいるようだ。
今月担当したドイツ語和訳チェック案件でも、1箇所見られた。

翻訳対象は、ある工作機械メーカーのニュースレターで、製品を導入した顧客の紹介記事である。

工場に導入した機械の紹介のところで、... (im Vordergrund) 「...(フォアグラウンド)」と和訳していた。

MemoQ のエディタ画面で和訳のみを見たときは、何を意味するのかわからなかった。
工作機械のソフトウェアの動作の話なのだろうか。

元の原稿で確認すると、工場内に並んでいる機械の写真の説明であった。
すると、im Vordergrund と示された機械は、手前側に設置されているものだった。

位置関係を示しているということで、「...(手前側)」が正しい和訳だ。

元の原稿を確認するのが面倒だったのか、早く納品して次の案件に移りたかったのか、それはわからないが、使用されている状況に合わなければ誤訳だ。

誰でもミスはするものだが、元の原稿を見るだけでミスを避けることが可能だったのに、もったいないことだ。


ドイツ語翻訳をしていると、特に学術論文や新聞記事などで、冠飾句を目にすることが多い。冠飾句は、冠詞と名詞との間に置かれた長い形容詞句である。関係節で書き換えることもできるが、冠飾句から順に訳すと日本語の語順に近くなることが多いので、理解しやすいのではないだろうか。原稿を紙に印刷してから翻訳していたときは、冠飾句の部分を( )でくくっていた。長い冠飾句のときに間違えることがなくなるし、推敲時に見直す...
ドイツ語翻訳では冠飾句を正しく把握しよう

テーマ : SOHO・在宅ワーク
ジャンル : ビジネス

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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