hyceanの日本語表記はいつ決まるのだろうか
雑誌「英語教育」で毎号チェックしている記事の1つは、「今月の時事英語」だ。
仕事でニュース翻訳をすることはあまりないが、注目されている言葉や新語が紹介されるので、語学の話題として読んでいる。
2021年11月号では、天文学の論文で提案された新しい造語の hycean が紹介されている。
www.taishukan.co.jp/book/b592095.html
たいていは和訳が示されているのだが、この場合は辞書の語義説明のように書かれていた。
それは、「太陽系外の水素と大海の惑星」だ。
天文学会や国立天文台などの記事がないので、翻訳の仕事のつもりで自分なりに作ってみよう。
例えば、「富水素海洋惑星」または「富水素大気海洋惑星」はどうだろうか。
この hycean が出てくる Astrophysical Journal の論文は次のリンクから。
iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/abfd9c
論文タイトルと Abstract の冒頭部分を引用しておこう。
【Habitability and Biosignatures of Hycean Worlds
We investigate a new class of habitable planets composed of water-rich interiors with massive oceans underlying H2-rich atmospheres, referred to here as Hycean worlds. With densities between those of rocky super-Earths and more extended mini-Neptunes, Hycean planets can be optimal candidates in the search for exoplanetary habitability and may be abundant in the exoplanet population.】
また、この研究に関するケンブリッジ大学の発表は次のリンクから。
www.cam.ac.uk/research/news/new-class-of-habitable-exoplanets-a-big-step-forward-in-search-for-life
hycean は、hydrogen(水素)と ocean(大海)からの混成語。
その hycean 惑星は、水素(H2)が豊富な大気を持ち、水に覆われている、と考えられている。
hycean の発音は、カタカナ表記すると「ハイシーン」で、アクセントは後ろの長母音にある。
学会で日本語名称が決まるまでは、暫定的に英語のまま「hycean」、または英語発音のカタカナ表記で「ハイシーン」と書いてもよいだろう。
ただし、検索してみると、「ハイシーン」の例は少なく、「ハイシャン」も見られたが、一番ヒット数が多いのは「ハイセアン」であった。
どの場合も語頭の hy- は、hydrogen「ハイドロジェン」から「ハイ」と、英語の発音を反映している。
そのあとの -cean は、ocean「オーシャン」から「シャン」を選んだり、発音を無視した字訳の「セアン」となっている。
無理にカタカナ表記をするよりも、英語の hycean のまま書いて、公式の日本語名称が発表されるまで待った方がよいかもしれない。
それでも、意味がわかるように日本語にしてくれと言われたら、先に示した「富水素大気海洋惑星」にして訳注をつけて提出するかもしれない。
今後、Natureダイジェストや日経サイエンスなどに出てきたら、再度メモしておこう。
仕事でニュース翻訳をすることはあまりないが、注目されている言葉や新語が紹介されるので、語学の話題として読んでいる。
2021年11月号では、天文学の論文で提案された新しい造語の hycean が紹介されている。
www.taishukan.co.jp/book/b592095.html
たいていは和訳が示されているのだが、この場合は辞書の語義説明のように書かれていた。
それは、「太陽系外の水素と大海の惑星」だ。
天文学会や国立天文台などの記事がないので、翻訳の仕事のつもりで自分なりに作ってみよう。
例えば、「富水素海洋惑星」または「富水素大気海洋惑星」はどうだろうか。
この hycean が出てくる Astrophysical Journal の論文は次のリンクから。
iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/abfd9c
論文タイトルと Abstract の冒頭部分を引用しておこう。
【Habitability and Biosignatures of Hycean Worlds
We investigate a new class of habitable planets composed of water-rich interiors with massive oceans underlying H2-rich atmospheres, referred to here as Hycean worlds. With densities between those of rocky super-Earths and more extended mini-Neptunes, Hycean planets can be optimal candidates in the search for exoplanetary habitability and may be abundant in the exoplanet population.】
また、この研究に関するケンブリッジ大学の発表は次のリンクから。
www.cam.ac.uk/research/news/new-class-of-habitable-exoplanets-a-big-step-forward-in-search-for-life
hycean は、hydrogen(水素)と ocean(大海)からの混成語。
その hycean 惑星は、水素(H2)が豊富な大気を持ち、水に覆われている、と考えられている。
hycean の発音は、カタカナ表記すると「ハイシーン」で、アクセントは後ろの長母音にある。
学会で日本語名称が決まるまでは、暫定的に英語のまま「hycean」、または英語発音のカタカナ表記で「ハイシーン」と書いてもよいだろう。
ただし、検索してみると、「ハイシーン」の例は少なく、「ハイシャン」も見られたが、一番ヒット数が多いのは「ハイセアン」であった。
どの場合も語頭の hy- は、hydrogen「ハイドロジェン」から「ハイ」と、英語の発音を反映している。
そのあとの -cean は、ocean「オーシャン」から「シャン」を選んだり、発音を無視した字訳の「セアン」となっている。
無理にカタカナ表記をするよりも、英語の hycean のまま書いて、公式の日本語名称が発表されるまで待った方がよいかもしれない。
それでも、意味がわかるように日本語にしてくれと言われたら、先に示した「富水素大気海洋惑星」にして訳注をつけて提出するかもしれない。
今後、Natureダイジェストや日経サイエンスなどに出てきたら、再度メモしておこう。