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元素名や化合物名は困難なのだろうか

昨年末、ワード数が多いドイツ語和訳のチェックについて打診があった。
50日くらいかけてもかまわないとのことだ。
週末や空き時間で対応可能と思ったので受注することにした。

ワード数から概算し、現在の為替レートで日本円換算すると約20万円だ。
このうち10万円を書籍とスーツの支払いのほか、教会の夏期献金などに使おう。
残り約10万円は残しておいて、クリスマス献金や保険料の支払いに使おう。

翻訳には約3か月かかり、3月末からチェックを始めることになった。
5月の連休明けに納品する予定だ。

とりあえず最後まで通してチェックして、目立つミスを直すことにした。
そして細部を確認する2回目のチェックを連休中に行えば大丈夫だろう。

大型案件ということで、その分野に慣れている翻訳者が担当したと思っていた。
ただ、半分ほどチェックが進んだところでは、5%程度の修正が必要であった。
漢字変換ミスだけではなく、用語の不統一、化合物名などの間違いが目立った。

私は化学者なので、元素名や化合物名の間違いを特に気にしてしまう。

まずは化合物名のタイプミスの例。
Kohlenmonoxid 誤)胃酸化炭素 ⇒ 正)一酸化炭素

次は慣用名なので誤訳とまでは言えないが、できれば正式な化合物名にしてほしい例。
これは、独和辞典の訳語が「ナフタリン」のみだから仕方ないのかもしれない。
Naphthalin 誤)ナフタリン ⇒ 正)ナフタレン

これも化合物名の間違いだが、一般的な独和辞典にもない訳語を選択した例。
Benzol 誤)ベンゾイル ⇒ 正)ベンゼン

「ベンゾール」と入力するつもりで「ベンゾイル」になったのか。
それとも、もしかすると、「科学技術独和英大辞典」を参照したのかもしれない。
「Benzol, Benzoyl-, Benzyl- ベンゾール,ベンゾイル基,ベンジル基の総称……」とあるから。

元素名の例では、よく話題になるのだが、ケイ素シリコンと書いてあった。
「シリコン」は半導体関連で高純度ケイ素の意味で使うのが望ましい。
そしてまたもや、ポリマーのシリコーンまでシリコンと書いてあった。

また、漢字表記ではなくカタカナ表記をする元素名もある。
例えば、50番元素はスズと書き、ではない。

他にも、数値の書き方に違和感があった。

やはり日本では教育が文系と理系で分断されているためなのか、独学だけでは足りないことも多い。

こんなことを書くと嫌がる人もいるかもしれないが、取扱説明書の専門用語が間違っていると、クライアントの信用がなくなってしまうので正式な名称を使うことにしている。


(最終チェック・修正日 2021年02月05日)ベンゼン環2個が縮環した化合物の名称は naphthalene (ナフタレン)で、ドイツ語では Naphthalin。以前は「ナフタリン」という日本語名称も使われていたが、現在はナフタレンのみだ。ただ、検索すれば明らかなように、21世紀になっても「ナフタリン」で特許申請が行われているので、和訳されたドイツの特許にナフタリンが出てきても、誤訳と決めつけることはできないかもし...
ナフタレンをナフタリンと呼ぶのもやめよう


テーマ : 語学の勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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