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古い英単語 formiate(ギ酸塩)を特許で見た

特許には最新技術が書かれているのだが、専門用語は古いままということも多い。

あるとき、化合物名を最新の命名法に従って記載したところ、改訂前の古い命名法での名称に修正するようにと、クライアントから要求されたこともある。

過去の出願と同じ用語で統一したいためなのだろう。

そして、今月調査で検索した英語特許では、現在は formate(ギ酸塩、ギ酸エステル、ギ酸イオン)と書くのに、formiate と古い英単語で書いてあるのを見つけた。

そしてその和訳を探したところ、ホルミエート(formiate)」となっていて、原文で対応する単語が併記されていた。

フランス語の formiate と綴りが同じだし、ドイツ語でも Formiat と似ているから、母語が英語以外の出願人が間違って書いたという解釈も可能だ。

ただ、formiate の使用例を Google Books などで検索してみると、化学分野では 21世紀に出版された英語文献も見つかるので、現代にも残っている英語の単語と考えてよいはずだ。

formiate は古い英単語ではあるが、存在する単語なので、和訳は「ギ酸塩」などと、formate と同じ扱いでもよいのではないかと思う。

フランス語やドイツ語と同様に、ラテン語由来の formiate を最初は使っていたが、その後、formate に変わったのだろうか。
この変化の根拠は、時間があるときに調べてみよう。

他にも、ケイ素 silicon を silicium と書いている特許も見たことがある。
新しい概念を表す新語もあるが、現在はほとんど使わない古い単語も出てくるので、特許翻訳も楽ではないと思う。

テーマ : 英語
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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