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「脱炭素」ではなく「炭素循環」

今年も世界中で極端な気象現象が見られ、気候変動・地球温暖化の話題が取り上げられている。
そして特に話題となるのが、二酸化炭素の排出量である。
他にメタンなどにも注目しなければならないが、二酸化炭素が悪者扱いされていることが多い。

それで、二酸化炭素を排出しない「脱炭素」の技術が望まれている。
ただ、あらゆる過程において二酸化炭素の排出がゼロというのはハードルが高い。
ということで、二酸化炭素収支が均衡する「カーボンニュートラル」、または「炭素循環」の方が現実的である。

たまたま日本化学会のサイトで「お知らせ」を見たところ、「脱炭素」ではなく「炭素循環」を使おうと提案していることを知った。

【化学と工業9月号、化学会発欄に「科学(化学)的に正しい「炭素循環」を 我が国が目指す社会の用語として使おうを発表しました。日本化学会は,この科学(化学)的に間違った言葉が使われることに強い懸念をもっており,科学(化学)的に正しい「炭素循環」という用語を使うことを強く求めたいと思います。】


「化学と工業」の記事 PDF のリンクは次の通り。
www.chemistry.or.jp/journal/ci22p667.pdf

確かに「脱炭素」だと、二酸化炭素を排出するものは追放すべきという誤解を生みそうだ。
それで、科学的・化学的に正しい用語として「炭素循環」を普及させたいという主張は理解できる。

私はできるだけ「炭素循環」を使いたいが、メディアで「脱炭素」を毎日目にしているし、日本化学会の主張が一般の人々には届かないのではないかと思う。

国会審議などで岸田首相が「炭素循環」と言うかどうか、機会があればチェックしてみよう。

テーマ : 雑学・情報
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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