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「yellowのセルのみ処理」とあったが

ある岩波新書で、母語によって「茶色」が全く違う色になるという話を読んだ記憶がある。

「茶色の車で迎えに行く」とアメリカ人の友人から連絡が来たので待っていたが、日本人の著者は、「オレンジ色の車が停まっているが、茶色ではないな」と思い、声をかけなかったという。

「黄色」でも似たような誤解が生じると書いてあったかもしれない。
うろ覚えなので、積んである段ボール箱のどれかに入っているはずだから、後で探してもう一度確認してみよう。

たしか、日本語話者が「黄色」と聞くと、レモンの皮のように明るい色を思い浮かべることが多いとのこと。
しかし、英語話者の場合、事務用封筒のような明るい茶色を指すこともあるそうだ。

日常生活では色見本を使うこともないし、L*a*b* 表色系を使うこともないので、互いに頭の中では違う色を思い浮かべている可能性は高い。

海外翻訳会社からのドイツ語和訳の仕事で、その yellow の解釈で問題が生じた。

既存の取扱説明書を改訂したので、既存訳に加えて、新規の翻訳もしてほしいとのことだ。
エクセルシートに直接和訳を入力する形式で、和訳を入力すべきセルは yellow で明示しているという。

実際の色は、下の図を参照してほしい(一部改変してある)。

yellow ということなので、日本人が思い浮かべる「黄色」のセル、つまり既存訳が入っているセルのみ新規の和訳に入れ替えた。

これで納品したところ、「明るい茶色」のセルも翻訳対象との連絡が来た。
ここで冒頭に紹介した岩波新書の話を思い出した。

クライアントからすれば、どちらも黄色ということのようだ。
それでも、2色で塗り分けているのは誤解の元だ。

まあ、問い合わせをすればよかったかもしれないが、yellow のセルという指示ではなく、ハイライトしたセルなど、誤解を避ける表現をしてほしかった。


翻訳黄色とは

テーマ : 英語
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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