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最新刊の分子細胞生物学第9版でmutationは「(突然)変異」と「突然変異」が混在

特許翻訳の仕事で必要なので、専門分野の辞書だけではなく、最新の専門書も購入して資料にしている。
ネット上でも学会の用語集や専門誌の公開論文などが簡単に入手できるようになったが、資料として紙の本をじっくり読むことも必要だろう。

最新の研究成果を知るには、紙の専門書では情報が古くなっていると思われるかもしれないが、基礎も含めて体系的に学習・復習するには適している。

それで今日購入したのは、昨日発売の「分子細胞生物学第9版」(東京化学同人)である。
出版社のリンクは次の通り。
www.tkd-pbl.com/book/b10032217.html

監訳者まえがきにあるように、幅広い分野を網羅しながら最新の研究成果も紹介しており、有用な教科書である。

【本書は生化学から,分子生物学,細胞生物学,生理学,さらに,神経科学,免疫学,がんまでも網羅し,改訂ごとに最先端の内容をも紹介するという,この分野で重量級の基準的教科書としての地位を確立しているといえよう.】

例えば、第25章がん では、がん免疫療法の説明もあり、最近のバイオ系の特許翻訳でよく見る CAR T細胞などの基礎を学ぶこともできる。

また、専門用語の訳語についても参考にできる。
例えば、アミノ酸の名称は、38~39ページを見ると、lysineリシンthreonineトレオニンで正式な字訳による日本語名称だ。

それぞれ英語読み由来のリジン、スレオニンと和訳する人もいて、翻訳メモリにも登録されていることがあるのだが、私はこれも根拠にしてリシン、トレオニンを使い続けるつもりだ。

もうひとつ、mutation を確認してみた。
以前は「突然変異」だったが、「突然」という意味はないため、変異またはカッコつきで[突然]変異に変えることを日本遺伝学会などが提唱した。

162ページ右下を見ると、(突然)変異(mutation)とよばれる DNA 配列の変化は」とある。

しかし、195ページ右上を見ると、「したがって、突然変異の染色体上の位置や」とあり、そして次の196ページ左上を見ると、「(突然)変異(mutation)という言葉は」とあり、混在している。

全ページを確認したわけではないが、ざっと見た範囲では「変異」または「(突然)変異」がほとんどだ。
もしかすると、以前の版のときの和訳が残ってしまったのかもしれない。

しばらくしてから、正誤表が出ているかどうか確認してみよう。

このように気になる点はあるものの、わずか 9,570円で広範囲の知識が得られるのだから、買う価値はある。
加えて、かながわPay が始まったタイミングでの発売だったので、20%還元の有隣堂で 1,914ポイントもらえるのでうれしい。

仕事が忙しくなければ、1週間くらい時間をとってじっくり読みたいものだ。

分子細胞生物学

テーマ : 生物学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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No title

コメントありがとうございます。

訳語の選択は、最終的に誰が読むのか、というのが判断基準になりそうです。教科書なので正式名称を最初に学ぶのがよいでしょう。その後、これまでの用語の変遷であったり、別称を知る方が混乱しないと思います。

特許の場合、審査官はあれこれ細かいことを言ってくる割に、専門家が読んで理解できればかまわないとのことで、余計に困ってしまいます。

No title

リシン、トレオニンは、私も意識はしているのですが、私の場合は、今も、特に指定がなければ、リジン、スレオニンと書いています。決して後者が正しいと考えているからではなく、今もって、その方が当業者への「通り」がいいんじゃないかという感覚を捨てきれないからです。明示的な指定があれば、もちろん迷うことなく、リシン、トレオニンと書きます。
リシンについては、lysineとricinが同一文書中に出現する文脈も過去に何度か経験しているので、リジンで許されるなら、リジンにしておこうかなという考えもあります。

突然変異は私も、もうほぼ使わなくなりました。先日、同業者と話題になったのは、constitutive expression/activationのconstitutiveを、最近は、構成的ではなく恒常的と訳すことが多いようだが、それに従った方がいいかどうかという話でした。そこでの結論は、顧客の反応を見ながら……というもので、私も、習慣的に「構成的」と訳していたところを、文脈をみながら徐々に「恒常的」に変えつつあるところです。
プロフィール

MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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