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ドイツ語の「Bayern」が英語で「Bavaria」でも和訳では「バイエルン」にしてほしい

連休になっても連日、新型インフルエンザA型/H1N1亜型(ブタインフルエンザ)の話題ばかりだ。

ドイツ語の勉強に集中しようと思っても、ドイツでのヒト間感染のニュースなどに気をとられてしまう。
病気に関する表現や単語の勉強を同時に進めて、何かあれば日本語報道が出る前に把握できるようにしたい。

ドイツ語で、ブタインフルエンザは die Schweinegrippe であるが、誤解を与えるということで、die Amerikagrippe/die Amerikanische Grippe(アメリカ風邪)や die Mexiko-Grippe(メキシコ風邪)を使っている報道もある。

そしてドイツ南部のバイエルン州で、看護師が感染したと報じられている。
時事通信の記事は次の通り。
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2009050100695
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【ドイツ保健省は1日、南部のバイエルン州で、メキシコから帰国した新型インフルエンザの感染者の看護に当たっていた女性看護師1人が、同インフルエンザに感染していることを明らかにした。看護師にメキシコ渡航歴はなく、ドイツで初めて人から人への感染が確認された。】
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他の日本語報道も比較していたところ、CNN日本版で、「ババリア州」 と書いているのが気になった。
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200904290025.html
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【感染者はメキシコ旅行から帰国後に発症したハンブルク在住の22歳女性と、南部ババリア州レー ゲンスブルク市内の病院に入院中の30代後半男性、やはりメキシコ渡航歴があるババリア州在住の37歳女性。】
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元の英語記事はわからないが、参考にした英語報道は、たぶん以下に示す記事だろう。
http://www.adnkronos.com/AKI/English/Security/?id=3.0.3259408705
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【Authorities in the southern region of Bavaria said that a man from Regensburg and a woman from the town of Kulmbach were infected with the virus.

A further case of swine flu was confirmed in the northern city of Hamburg where a 22-year-old woman contracted the disease after returning from Mexico.】
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どうして英語(だけ)専門の翻訳者は、日本語で普通は 「バイエルン州」 と言っているのに、わざわざ 「ババリア州」 などと、英語読みを無理やり押し付けてくるのだろ うか。

研究社の 「リーダーズ英和辞典」 で Bavaria は、「バイエルン((ドイツ南部の州))」 とある。
ところが  「英辞郎」 では、地名として 「ババリア」 と書いてある。
それでも、Bavaria の次に出てくる Bavarian は、「バイエルン人」 とあるので、考えてほしい。

ニュースサイトの契約翻訳者は、「英辞郎」 を使うことが多いそうだから、
何 も考えずに、書いてあることをそのまま信用して 「ババリア州」 としたのだろうか。

この記事を翻訳した人は日本語で、「ババリア州の ミュンヘンに行った」 と、はたして言うだろうか。
英語しか知らず、ドイツ語の Bayern を知らないとしても、日本語で言うかどうかぐらい考えてほしい。

日本語ということで、広辞苑第六版で、「バイエルン」 を 調べると、次のように出ていた。

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【ドイツ南東部にある同国最大の州。州都ミュンヘン。1806年神聖ローマ帝国の解体により王国となる。71年ドイツ帝国に加入するが、独立性は保持。1949年ドイツ連邦共和国の1州となる。機械・自動車産業が盛ん。英語名バヴァリア。】
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さらに 「バヴァリア」 を確認すると、【バイエルンの英語名。】 とあるのみ。

広辞苑の語義説明を信用するならば、日本語では 「バイエルン」 とするのが一般的であり、英語の Bavaria の読み方をカタカナ表記するときに 「バヴァリア」 や 「ババリア」 となるわけだ。

在日ドイツ大使館のHPを見ても、「バイエルン州」 となっているのだから、尊重してほしい。
http://www.tokyo.diplo.de/Vertretung/tokyo/ja/07__D_20Info/Information/Bundeslaender.html

ドイツ大使館で確認しなくても、「ババリア州」 と書いて平気なのは、日本語を知らないということか。
私も翻訳していて推敲の時に、「何だこの日本語は」 と、自分の書いた和訳にダメだしすることもある。
それでも、ニュースサイトの和訳をする人は、私のような化学者よりも言葉に敏感でいてほしいものだ。

CNNジャパンに質問しようと思ったが、以前の誤訳の指摘も無視されたので、やめておいた。

(最終チェック・修正日 2009年05月04日)


テーマ : 翻訳
ジャンル : ビジネス

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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