「語学力ゼロで8ヵ国語翻訳できるナゾ」(水野麻子著・講談社+α新書)
確定申告後に寄った紀伊国屋書店で、翻訳に関する新書を見つけて購入した。
「語学力ゼロで8ヵ国語翻訳できるナゾ」(水野麻子著・講談社+α新書)である。
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=272636X&x=B
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【専門知識、実務経験がなくてもプロになれる!先入観と「できるわけがない」を捨てろ
短大卒、英検3級の「ずぶの素人」が特許翻訳者になり2年後に月収100万円超を実現!
1992年、春。私は翻訳者になると決めて2週間後に、フリーの特許翻訳者として仕事を始めました。初年度の翻訳収入は7ヵ月で約700万円。翌年は1年でほぼ倍の約1300万円になりました。特別に単価の高い仕事をしたわけではありません。私は文系の短大出身、翻訳学校で勉強したこともなければ、翻訳の実務経験もありません。英語はといえば、学校のテストで平均点を割ることなど当たり前で、英検は3級どまりです。むしろハンディがありました。なぜなら、家事を1人でこなし、1歳半の娘の世話もしなければなりませんでしたから。それにもかかわらず、営業をまったくしなかったのに口コミと紹介だけでお客様が増え、数ヵ月先まで仕事の予約でいっぱいの状態になっていったのです。――<「まえがき」より>】
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著者の公式HPとブログは次の通りで、ブログには本新書の正誤表が出ていた。http://www.saglasie.com/
http://ameblo.jp/saglasie/
章立ては次の通り。
第一章 語学力と論理的思考力
第二章 知識とは選択肢のこと
第三章 生き残りのカギは発想の転換にあり
第四章 「重ね刷り」方式の翻訳
第五章 まだまだできる、役割分担
この新書では、著者がこれまで雑誌やHPで書いてきた、翻訳作業の効率化がまとめられている。
特許やマニュアルの翻訳で適用しやすい方法が、具体的に述べられている。
効率化の一例である、入力作業の簡略化については、すぐに実践できる方法なので、役立つだろう。
また、1行目から順番に訳すのではなく、できるところから先に埋めていくという方法も効率化の一つだ。
物質名や数字、単位名、略語など、決まりきった部分は、何も考えずに一度に変換すればいい。
まあ、作業の進め方は翻訳者個人の好みもあるので、著者の勧める方法が合わない人もいるかもしれない。
それでも自分の作業方法を見直したり、PCスキルの向上を考えるときに、一例として参考にすればいい。
他にも、大学図書館などの利用法や、訳注の考え方など、作業方法の見直しに役立つ情報だろう。
私は大量の案件を受けることが少ないので、これまで効率化の方策を、あまり導入してこなかった。
まあ、ネット検索の効率化と、長い単語を簡略化して登録するくらいだった。
去年から契約した外資系メーカーの案件では、Idiom WorldServer のシステムを使っているが、TRADOS はまだ導入しておらず、あるサイトでは私のブログを引用して、躊躇していることを批判していた。
確かにある翻訳会社からは、TRADOS 使用案件の打診があったので、12万円を超える金額であっても、後で取り戻せると信じて投資すべきなのかもしれない。
しかし今年は、ドイツで開催される国際会議に自費で行くので、貯金しておかねばならない。
それに加えて、デスクトップPCを Windows 7 対応のものに更新したいので、ソフトは後回しだ。
全部実現できるように、今年前半にたくさん翻訳案件を受注できるように期待したい。
あと、新書のタイトルに8ヵ国語とあるが、私も自然科学分野に限定すれば、その程度を目標にしたい。
英語とドイツ語、そして最近始めたノルウェー語とアイスランド語の他に、4ヵ国語を追加してみよう。
以前かじった中国語とスペイン語に、論文を読むときに役立つフランス語とロシア語となるだろうか。
横着を許してもらえるならば、比較しながら勉強できるゲルマン諸語で、8ヵ国語を達成したいものだ。
英語・ドイツ語・ノルウェー語・アイスランド語の他は、オランダ語・デンマーク語・スウェーデン語だ。
全部ゲルマン諸語ではやはり偏るので、残り一つは、論文を読むためにフランス語にしてもいいだろう。
これは持論だが、研究者は最低でも2つの外国語を使えるようにした方が有利だ。
英語論文しか読めない研究者は、過去の論文を読むときに困ってしまう。
最近の大学では、第二外国語の必修をやめているので、英語以外は理解できない研究者が増えるだろう。
ということで、数ヵ国語を理解する化学者になることは、10年後には非常に有利になるだろう。
それが翻訳受注増加につながるかどうかはわからないが、私の個性の一つとしたいものだ。