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"delitirous"という単語は"deleterious"の誤記だったようだ

現在翻訳作業をしている英語特許は、世界的な大規模製薬メーカーが出願したものだ。
有名企業が出願したといっても、特許文書には誤記が含まれることが常識だ。

今回も試薬名や構造式の間違いに始まり、反応温度が「-40℃」のはずなのに「40℃」だったり。

私は有機化学が専門だから、こういった間違いについては、自信を持って指摘できる。
まあ、経験のある専門家であれば、再現実験のときに誰でも気づくだろうが。

化学は専門でも、英語については比較的自信がなく、常に調べながら慎重に翻訳している。
製薬メーカーで働いていても、医学専門用語にはなじみがなく、調査には時間がかかってしまう。

過去記事では、"ats" という、意味不明の単語(文字列)について書いたが、もう一つ、"delitirous" という単語について、同様に誤記であると推定した。

"The delitirous effects of androgen deprivation .." という文があったが、特許の背景の説明ということから推測して、「アンドロゲン除去療法の阻害作用..」としてみた。

これは、「アンドロゲン除去」 と 「作用」 をキーワードにして 検索し、類似表現を拾ったものだ。

次に "delitirous" で検索してみると、たった29件しかヒットしなかった。
それも個人のブログなどで、この特許の他には、論文などの学術資料は皆無だった。

どこのオンライン辞書でも載っていないので、これは別の単語のスペルミスだと推測した。

するとこの文意に沿った単語とは、"deleterious" であろう。
この単語で検索すると、800万件以上がヒットした。

そして訳文は、「アンドロゲン除去療法の
有害作用」 とした。


このような誤記の場合、辞書には当然載っていないのだが、スペルミス辞典はないものだろうか。
スペルチェックのオートコレクト機能があるのだから、簡単にできそうなものだが。


雑誌 「言語」 7月号では、「インターネットと言語研究」 という特集があった。
その中で、「英語研究とネット活用」 という記事が参考になる。
インターネット上の情報をコーパスとして扱う可能性について、実例を挙げて解説している。

その記事では誤用の例として、不可算名詞 "furniture" の単数形・複数形の検索結果を示している。
いくつかの単語について、考えられるスペルミスを入力して探すこともできるだろう。

今回も、"delitirous" は29件しかヒットしなかったから、つづりを間違えて覚えいてた人が書いた文だと判断できた。

こんなことで時間を取られて、時間当たりの単価が下がってしまうが、本業では得られない経験ができるから、翻訳を続けているのかもしれない。



テーマ : 翻訳勉強
ジャンル : 学問・文化・芸術

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MarburgChemie

Author:MarburgChemie
製薬メーカー子会社の解散後、民間企業研究所で派遣社員として勤務していましたが、化学と語学の両方の能力を活かすために専業翻訳者となりました。

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